コロナ禍を「災害」とみなす(新型コロナ対策その11)

「コロナ禍(新型コロナウイルス感染症の拡大)」を「災害(異常な自然現象)」とみなすことについて、内閣府と内閣法制局から話を聞きました。

この考え方は、東京都知事選挙に立候補表明したれいわ新選組の山本太郎代表が公約に掲げたため、注目を集めていますが、そもそもは津久井弁護士はじめ120名を超える弁護士有志から提案されたものであり、私も4月14日の総務委員会で取り上げ、立憲民主党の枝野代表も4月28日の予算委員会で取り上げました。

この考え方(解釈)が認められれば、現行の新型インフルエンザ等対策特措法ではできない、「自宅待機の義務付け」「警戒地域への立ち入り制限」(災害対策基本法)や「生活再建支援金の支給」(被災者生活再建支援法)などの災害関連法制に基づくより強力な措置や支援が可能となります。

更に、山本太郎代表が主張するように、この考え方により、地方財政法第5条に基づく地方債の発行が可能となり、地方自治体が行う独自策の財源が生まれます。

4月28日の予算委員会で、枝野代表の質問に対し、西村大臣は

「法制局と早速相談をしたのですが、やはり災害基本法あるいは災害救助法の災害と読むのは難しいという法制局の判断をいただいたところでありまして」

と答弁しています。

内閣法制局の担当参事官に、「どのような検討の結果、難しいと判断したのか?」尋ねたところ、

「政令で規定する範囲は法律上の制約があり、また、感染症の分野については、感染症予防法や新型インフルエンザ特措法などによって別途法体系が整備されていることから、政令改正によって新型コロナウイルスを災害対策基本法の対象災害の原因事象に加えることは困難である」

という「政令改正では難しい」という内閣府が作成した答弁について、「意見なし(問題ない)」と回答しただけであって、

「コロナ禍(新型コロナウイルス感染症の拡大)が災害(異常な自然現象)に該当するか否かについて検討したわけではない」

とのことでした。

また、山本太郎代表が主張する「地方財政法第5条の『災害』と災害対策基本法で定義される『災害』は同じ意味か?」と尋ねると、

「同じ『災害』という文言でも、法律が異なれば、必ずしも同じ意味とは限らない。それぞれの法律の位置づけなどを勘案し、総合的に判断することになる」

との答えでした。

つまり、内閣法制局の見解は、

「法制的に難しい」のではなく、「政治的な判断で柔軟に解釈できる」

ということになります。

おそらく「コロナ禍=災害」とできない最大の理由は、「財源不足をおそれた財務省の猛反対」であると推察されますが、今は財源不足を心配するよりも、「できることを最大限やる」ことが必要なはずです。

「コロナ禍(新型コロナウイルス感染症の拡大)」を「災害(異常な自然現象)」とみなすことについて、内閣府と内閣法制局から話を聞きました

引用・参考・出典

【出典記事】
たたかい日記:新型コロナ対策その11(コロナ禍を「災害」とみなす) - 高井崇志(タカイタカシ) | 選挙ドットコム