【韓国IT視察(その5)ソウル市役所】 ソウル市情報企画課のキム課長からお話を伺いました

【韓国IT視察(その5)ソウル市役所】

ソウル市情報企画課のキム課長からお話を伺いました。

ソウル市は国連の発表する電子自治体指標で、2位のニューヨークを大きく引き離し、断トツの6年連続世界一。

市内972ヵ所で無料WiFiを提供。今年末までに1500ヵ所に拡大する予定。地下鉄では大手携帯3社が無料でWiFiを提供中。

携帯会社、銀行等と連携し、無料スマホ充電サービスを340ヵ所で実施しており、今後更に増やす予定。

ホームページは全職員が更新可能で、市民も自由に書き込める。「1000万創造オアシス」ページでは、市民からの提案をいつでも受け付けており、政策決定プロセスも全て市民に公開。

市職員の公費支払いは全てクレジットカードで行われ、その記録は全てホームページ「開かれたデータ広場」で公開される(市職員がいつ、どこで、なにを食べたかまで公開される)。

行政が保有する情報500種類のうち150種類を公開(オープンデータ)している。これらのデータを民間企業が活用してサービス開発を行うことが可能で、2000億円以上の経済効果を期待している。

今後のソウル市の電子自治体戦略は、以下の4分野に集中して進める予定。

① 「ビックデータ・オープンデータ」。データの量ではなく意味のあるデータを出すことが大事。成功例としては、深夜バスの路線を決めるため、携帯電話30億コールのデータを収集・分析し、携帯電話の発信位置と所有書の請求書の住所をマッチングし、最適な深夜バス路線を作ったところ、9路線で1日平均7400名に利用され、黒字を計上しており、市民アンケートによる「市民が選んだ最高の政策」に選ばれた。今後、自動車事故危険地域の予測や公共施設の建設候補地の決定にも活用する予定。

② 「モバイル市政」。「MVoting」というスマホアプリを開発し、市民が誰でも気軽にスマホで投票できる仕組みを作った。政策テーマ毎に投票対象者をセットできるのが特徴。また市民が自らの提案に対して、対象者を決めて投票を求めることもできる。来年度予算(年2.5兆円)のうち、市民が投票によって決めることができる事業の予算を50億円計上。

③ 「IoT」。市の課題をテストベットで住民が体験し、解決する仕組み。具体的には、伝統的家屋が集まる地域「北村」における騒音や違法駐車等の迷惑行為を解決するため、市は公共WiFiとCCTVを設置し、これを民間に開放。民間企業が歩行者のための多言語地図を作成するなど活用している。

④ 「グローバル協力」。世界92都市が参加する電子自治体協議会「WeGO」を主宰。インドのムンバイ市や日本の千葉市に「FixMyStreet」を導入するなど、成果を挙げている。

情報企画課は職員数250名。このうち8割がIT専門家。
市役所全体では、各部局に約1000名のIT専門家がいる。