小泉進次郎環境大臣へ「犬猫の飼養管理基準に関する要望書」を提出しました

自由民主党 牧原ひでき衆議院議員・社民党副党首 福島みずほ参議院議員・立憲民主党 生方幸夫衆議院議員と小泉進次郎環境大臣へ「犬猫の飼養管理基準に関する要望書」を提出

昨年6月に成立した「改正動物愛護法」。

3年間、超党派議員連盟の事務局次長として改正案づくりにどっぷり携わり、とりわけ一昨年夏、具体的な条文作成が佳境を迎えるときには、1日3時間以上の会議を連日重ね、多くの動物愛護団体や有識者の意見をお聞きし、法案に反対するペットショップ業界とも丁寧に話をしながら、法改正にこぎつけた。

法律には2種類あって、一つは内閣提出法案(通称「閣法」)。これは内閣(政府=官僚)が作る法案で、与党が賛成していれば、たとえ野党が反対しても、多数決で法案は成立する。

もう一つが議員立法(通称「議法」)。こちらは国会議員が衆議院(又は参議院)法制局の助けを借りて作る法案で、政策の大きな方向性を定めた「プログラム法」であることが多く、党派を超えて全会一致で決めるのが原則。

ところが動物愛護法は、細かいことを定めた条文がたくさんあるにも関わらず、過去からの経緯で議員立法となっており、とりわけ今回の改正は、世界レベルの動物福祉をめざす動物愛護団体と、これまで通りの営業を続けたいペットショップ業界の声があり、それぞれを背景に国会議員もまとまらず、「全会一致」が原則であるがゆえに調整は大変であった。

それでも何とかぎりぎりの調整の結果、昨年6月に改正案は成立したのだが、これで終わりとはいかなかった。

今回の改正の目玉である「飼養管理の数値規制」。これまで悪質なブリーダーやペットショップが劣悪な環境下で飼育していても、「飼養管理基準」があいまいであったため、行政指導にあたる自治体職員が、業務改善命令や取消しなどの処分を下すことができず、放置されてきた。このため、この数値基準をより具体的なものとするため、今回の法改正で、21条の第2項に「設備の構造・規模」「従業員の員数」「環境の管理」「展示又は輸送の方法」「繁殖の用に供する回数」などの具体的項目を定め、更に第3項で「基準はできる限り具体的なものでなければならない」と定めた。

この具体的な数値基準は環境省令で定められる。環境省は昨年から「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」において省令案の検討を進めてきた。ただ同検討会を傍聴した方々からは、「検討会での議論は法改正の趣旨を十分踏まえたものとは言い難い」との報告を受けていた。

そこで、法改正を担った「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟・動物愛護法改正PT」として、立法者の意思を示すため、環境省に対して省令案に関する要望書を提出することにした。

私は事務局次長として要望書の作成を担当した。海外の法令を調べ、専門家と意見交換し、何より環境省の担当部局と何度も膝詰め協議を行い作成した。省令を策定するのは環境省であり、環境省の意向を無視して要望書を出しても、「絵に画いた餅」になるからである。

環境省とはこの3年間法改正で苦楽を共にしており、協議は概ね友好的に進められたが、時には丁々発止のやり取りもあった。

要望書はPTメンバー議員の了承を得て、4月3日(金)小泉進次郎環境大臣へ提出した。小泉大臣は奥様の滝川クリステルさんが東日本大震災・福島第一原発事故の際から保護犬のラブラドールを飼っており、たまたまだそうだが、小泉大臣も幼少期にラブラドールの保護犬を飼っていたそうで(ちなみにこの犬は兄の孝太郎氏が家族の反対を押し切って飼ったそうだ)、我々の要望書に理解を示し、「いかに環境省が動物愛護の精神にのっとった対応ができるか、しっかりと(省令を)作っていく。(議連の皆さんの)ご苦労に一つでも報いることができるように、取り組んでいきたい」と発言された。

私からは、「この要望書を作るにあたり、長田動物愛護室長はじめ多くの環境省職員の皆さんと協議を重ねてきた。あとは大臣のリーダーシップで決断して頂きたい。動物福祉部局の自治体職員からも期待されている。」と申し上げた。

環境省は6月にも省令案をまとめ、7月にパブリックコメントに付し、8月には省令が決定される見込みだ。

6月に出される環境省令案にどこまでこの要望書の内容を入れ込むことができるかが勝負。これまでも環境省とは協議を重ねてきたが、小泉環境大臣の発言を踏まえて、引き続き精力的に協議を重ねたい。

【小泉環境大臣に提出した犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟の要望書】
第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準に関する要望書(PDF)

【小泉環境大臣に犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟のメンバーと要望書を提出した際の様子】