【欧州出張報告その13(スイス内務省「統計庁」)】

【欧州出張報告その13(スイス内務省「統計庁」)】

スイス内務省を訪ね、マイヤー統計庁副長官からお話を伺いました。

統計については、統計庁が中心となり、他省庁や経済界とも議論し、4年間の「統計プログラム」を作成しますが、統計庁は、調査結果についての解釈や結論には一切ノータッチとしています。

具体的な統計手法は、連邦統計法に基づき、統計庁との調整のもとに作成されます。調整は統計庁長官がトップの「統計委員会」が担いますが、分野ごとに専門委員会を設けています。

統計の公表時期は一切どこにも相談せず、統計庁が決めており、統計の内容を他省庁と話し合うこともありません。

統計庁には820名の職員がいて、その3分の2は資格(修士号、博士号等)を持っています。

私から、

「統計庁の独立性を強調していますが、どのように担保していますか?」

と質問したところ、

「統計法に『統計庁の独立性』が規定されている。37年間統計庁に務めているが、政権や他省庁からの介入は一回もない。政治文化なのかもしれないが。」

との答えでした。

また、

「統計に民間企業のデータを活用していると聞いているが具体的手法は?」

と質問したところ、

「民間企業データの活用は質の確保が課題。グーグルやアマゾン等からデータを購入してはどうか?との議論もあったが、やっていない。業界団体の調査結果は活用している。」

との答えでした。

他議員から「予算はどうやって確保しているのか?」「統計人材の育成方法は?」と問われると、

「財政当局からは予算削減を言われるが、『それなら統計数を減らす。質は落とせない』と言っている。統計(分析)業務は労働集約型で、人手が必要だ。」

「統計庁で働きながら大学に通い修士を取れる制度を導入した。また大学教授を臨時職員として雇用している。」

との答えでした。

今年の通常国会(特に総務委員会)は「統計偽装問題」が大きな問題となりましたが、我が国の統計制度改革にも大いに参考になる訪問となりました。