【欧州出張報告その14(スイス諸事情)】
【欧州出張報告その14(スイス諸事情)】
ジュネーブとチューリッヒで、それぞれ現地で活躍されている日本企業の皆さんとの食事会をセットして頂き、現地法人や駐在員の皆さまからお話を聞かせていただきました。
スイスは人口842万人、面積は九州とほぼ同じですが、GDPは世界19位で、一人当たりGDPは世界2位。各種国際機関の他、IOC(国際オリンピック委員会)やFIFA(国際サッカー連盟)の本部もあります。
就業人口の30%が外国人で、金融・保険業、医療・製薬・バイオ産業、精密機械産業等世界のトップ企業が集結しています。
また、スイスは永世中立国であり、国民皆兵(徴兵制)の軍事国家ですが、防衛費の対GDP支出は0.7%(日本は1.0%)。18~34歳の男性には12ヵ月の兵役義務があります(何回かに分けて参加可能)。ただし介護施設等のボランティアに振り替えることも可能で、その場合は18か月となります。
消費税は8%(食料品、医薬品、書籍・新聞等は2.5%、ホテルは3.8%)ですが、物価は世界一高く、主な原因は人件費が高いことにあります。
スイスの公共放送は、昨年までは日本と同じように「スイス公共放送協会」(社員6千人)がテレビ設置者に対して受信料を義務づけていました。昨年3月、受信料の廃止を問う国民投票が行われましたが、7割の国民の反対で「否決」されます。その後、インターネットの普及を踏まえ、法律を改正し、本年1月より全世帯から徴収する税方式とし、料金を450フラン(5万円)から365フラン(4.3万円)に減額(年収50万フラン(550万円)未満は免除)します。
チューリッヒ日本商工会の会長からは、「放送を所管する総務委員会の皆さんには、日本もスイスの公共放送改革を見習って欲しい」と強く要望されました。
日本ではN国党が主張する「NHKスクランブル化」が話題となっていますが、フィンランドもスイスも、インターネットの普及を背景に「受信料方式」(テレビ設置者のみ支払い義務)から「税方式」(全世帯支払い義務)に変更しており、日本でも大いに参考になるのではと思います。