国民一律10万円給付は財務省の政策に合致する(「MMT・反緊縮」財務省と8度目の質疑)
5月26日の厚生労働委員会において「MMT・反緊縮」をテーマに財務省と8度目の質疑。財務省は前回より官僚(宇波主計局次長)ではなく政治家(伊藤副大臣)が登場するようになりました。
以下は議事録の要約版です。詳しく(正確に)知りたい方は動画をご覧ください。
財務省は日本経済よりも財政健全化を優先しているのでは
(高井)伊藤副大臣は前回の答弁で「日本経済の低迷が長引いた原因として、デフレが顕在化する中で企業が投資を控え、将来不安などから消費が低迷したこと」と言われた。まさにその通りだ。それがわかっていながらなぜ消費税増税をしたのか。消費税増税により消費は低迷しデフレが続いている。そう考えると財務省は日本経済の回復よりも財政健全化を優先していると考えざるを得ないがどうか。
(伊藤副大臣)金融政策、財政政策、成長戦略この取組みを一体として進め、経済再生と財政健全化の両立に向けて取り組んでおり、その結果、2019年のGDPは名目、実質ともに過去最高水準となった。財政健全化やPB黒字化目標は、コロナ禍で更に財政状況が悪化する中で市場の信認を維持すること、また少子高齢化などの構造的な変化の中で社会保障などの持続可能性を確保するとともに、いざというときのリスクに備えて政府の対応余力を確保する観点から重要と考えている。消費税については、全世代型社会保障制度へ大きく転換するためにどうしても必要だったと考えている。引き続き民需主導の経済成長を実現し、社会保障の持続可能性を高める改革など、歳出歳入改革の取組みを継続し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいりたい。
(高井)経済再生と財政健全化は両立しない。どちらを優先するかで財務省は明らかに優先順位を間違えた。これだけデフレで消費が落ち込んでいる時に消費税増税をやってしまった。これは認めた方がいい。
【動画】https://takaitakashi.com/archives/41424
国民一律10万円給付は財務省がめざす政策に合致する
(高井)与党の中でも私の考えに同調しアドバイスをくださる方もいる。この質問は与党の某議員からの提案だが、財務省がめざす「債務残高対GDP比」の改善のためには、国債を12兆円発行し、国民一律10万円給付を行えば、分子の債務残高よりも分母のGDPが増えるためいいのではないか。
(伊藤副大臣)分子の債務残高はストックであり年々累積されていく。分母のGDPはフローであり一時的に増加することがあっても、その増分が将来にわたって持ち越されるものではない。よって翌年度以降の債務残高対GDP比の改善につながるものではない。また仮に現金給付を行ったとしても家計が給付金を消費して初めてGDPにカウントされるので全てがGDPに計上されるわけではない。政府としては2025年度PB黒字化目標の達成に向けて社会保障の持続可能性を高める改革など歳出歳入改革を継続することが重要と考えている。
(高井)「政府としては」というが、PB黒字化や財政健全化などは財務省以外の省庁は求めていない。MMTの米国第一人者を招いた勉強会には野党議員よりも与党議員の方が圧倒的に多く参加していた。財務省も真剣に考えてもらいたい。
【動画】https://takaitakashi.com/archives/41427
インフレ率を予測して国債発行額を決めるべき
(高井)国債を発行する際に金利やインフレ率がどの程度になるかは予測できる。れいわ新選組の山本太郎代表が参議院調査室に試算してもらって、毎月10万円を支給して年間144兆円の国債を発行してもインフレ率2%にならないと試算されている。これを内閣府などで試算し、一定水準に達するまで国債を発行するルールを決めておけば債務不履行やハイパーインフレは起こらないのではないか。
(伊藤副大臣)金利やインフレは様々な要因によって決まるため財政政策との関係のみで議論することは極めて困難。仮に財政運営に対する信認が失われることになれば過度な金利上昇やインフレが起こる可能性は否定できない。事前に予測することは非常に困難だ。金利やインフレが一定水準に達した場合に国債の発行を停止することによって、歳出の大きな部分を占める社会保障の急激な削減や増税などを行わざるを得ないため国民生活に大きな影響を与えかねない。総理も4月23日の当委員会で答弁されたと聞いてますが、金利やインフレを予測し、その数値が一定水準に達しなければ国債を発行するというルールを設けることは現時点では考えていない。
(高井)私は増税をしなくていいようにその手前で国債発行を止められるように予想できるはず。金利やインフレが財政出動のみで決まらないのは当たり前。これだけデフレが続いている中で財政出動してもインフレにならなければ他の要因でハイパーインフレなど起こるはずがない。