憲法の三大原則「平和主義」とは何か?
国民民主党の第6回憲法調査会に出席しました。
本日のテーマはいよいよ「憲法9条」。
安倍政権下で国家安全保障局顧問も務めた細谷雄一慶応義塾大学法学部教授から「ナショナルズムに基づく平和主義からリベラルな国際秩序に準拠した9条へ」という少し過激なタイトルのお話をお聞きしました。
細谷教授の主張は、
- 憲法9条は、1928年のパリ不戦条約、1945年の国連憲章という国際主義の精神から派生した条文であり、さらには東京裁判から天皇を守る目的もあった。
- 世界の潮流は、国家安全保障から国際安全保障という、ナショナリズムからインターナショナリズムに基づいた安全保障観へと変遷してきた。集団安全保障や集団的自衛権という、国際協調主義の精神のなかに憲法9条を埋め込む必要があった。
- 戦前の日本が、軍国主義という名前の孤立主義に陥ったとすれば、戦後の日本はむしろ平和主義という名前の孤立主義に陥っている。ナショナリズムに基づく平和主義とは、正しいのは日本だけであり、憲法9条のみが崇高な平和の精神を提唱しているという独善である。
- 日本が他国よりも道徳的な優位になっているというナショナリズムが見られる。そのような独善やナショナリズムこそが、戦前に日本国民が国際社会で孤立したことを思い起こすべきである。
- 国際主義者たちによって創られた日本国憲法は、その後、利己主義的、自国中心主義的な安全保障観に取って代わられた。自国のみが安全であれば、他国の安全が損なわれても、国際社会の平和が破壊されてもかまわないという思考である。
- 国際連盟の挫折の経験から、国際連合は集団安全保障により国際社会の平和をめざしてきた。そのためには、加盟各国が個別的自衛権、集団的自衛権、集団安全保障という手段を組み合わせて、戦争を未然に防ぎ、平和を維持することが期待される。
安全保障法制(集団的自衛権)の必要性について、体系的な説明を初めて聞いた気がします。
私自身は、賛同できる考えではありませんが、こうした意見もしっかり把握した上で、憲法9条を議論することは大切なことだと思います。
玉木代表が最後に述べた言葉に私もまったく同感です。
「『平和主義』の再定義が必要だ。当たり前のように教えられてきた言葉だが、その意味するところは何なのか。武力行使(自衛隊の発動)がどういう場合ならば認められるのか、憲法に書き込むことが必要だ。戦後直後は『非武装中立』的な考え方が大勢だった国民の意識も時代とともに変化している。『平和主義』が何を意味するのか、その本質の議論を逃げずに行いたい」