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憲法を護るための立憲的改憲の必要性

憲法を護るための立憲的改憲の必要性

シン国民民主党の第3回憲法調査会に参加しました。

関西学院大学の井上武史教授による「憲法改正の作法とは~フランスでの改憲プロセスを参考に」と題した講演は、大変参考になる内容でした。

フランスでは、1958年の現行憲法制定以来24回改正が行われていますが、中でも2008年改正は、89か条のうち47か条を改正するという大改正でした。

2007年5月に就任したサルコジ大統領は、就任直後から憲法改正作業に着手。7月には憲法改正案づくりのための専門家会議(バラデュール委員会)を立ち上げます。

会議のメンバーは、委員長がバラデュール元首相。委員は元政治家4名、法実務家2名、法学者6名、有識者1名の13名で構成され、3か月後には77項目の憲法改正案(柱は「執行権の統制」「議会の強化」「市民の権利保護」)を提言します。

その後、政府(法務省)において条文案が作られ(バラデュール委員会の提案の4分の3が採用)、各省協議、コンセイユ・デタ(内閣法制局)の審査を経て、国会へ提出されます。

ちなみにコンセイユ・デタは、日本の内閣法制局のモデルと言われていますが、現在の日本の内閣法制局とは異なり、政権のいいなりにはならず、審査結果も全て情報公開しています。

国会では、法務委員会で審議されますが、審議時間は下院で62時間、上院で50時間ですが、国会議員から多数の修正案(下院だけで955件)が出されます。

フランスでは、憲法改正は、両議院の過半数で国民投票にかけることができます。また、例外として、国民投票にかけずに、上下両院の全国会議員が出席する「両院合同会議」で5分の3以上の賛成で承認されます。

実は例外といいつつ、「両院合同会議」方式が常態化しており、過去24回の改正の中で、国民投票が行われたのは1度のみ(国民投票の投票率は30.2%)です。

2008年改正も、「両院合同会議」方式で、1票差で可決(野党議員の造反)します。

マクロン政権となってからも、「国会議員定数の3割削減」「議員任期の制限(連続3期まで)」「野党会派の権限縮小」などの改正案が提案されますが、改正には至っていません。

フランスの憲法改正は、「議員定数削減」「議員任期の制限」「野党権限の拡大」「国民投票の拡大」「事後的違憲審査制の導入」「最高裁判事の任命手続き」「死刑廃止」「環境権」「メディアの独立性・多様性」など多岐にわたりますが、最大の成果は「パリテ原則(公選職の候補者を男女半々とする)」です。当初法改正でやろうとしますが、最高裁が違憲と判断したため、憲法改正を行います。これにより、フランスの国会議員に占める女性の割合は39%(日本は10%)、女性閣僚は32名中17名(日本は10名中2名)となっています。

 

井上先生は、諸外国の憲法と比べて、日本国憲法の特徴は、

  • 分量の少ない小さい憲法(権力に対する統制が弱い)
  • 改正経験のない憲法(制定後の社会の変化に対応していない憲法)
  • 独立前に制定された憲法(国民の承認を経ていない憲法)

という3点だと指摘されました。

特に「小さい憲法」であることの弊害は、

  • 諸外国では憲法に定められている事項(内閣の解散権、緊急事態条項、国と地方との関係など)がない
  • 憲法の不足を補うため、憲法解釈や法律が果たす余地が大きいため、権力統制力が弱く、エリートによる憲法運用が行われる(国民主権に反する)

と指摘されました。

 

質疑応答の時間で、私から、

「先生の指摘する日本国憲法の特徴を見れば、いいことは何もない。でも憲法学者には護憲派が多い。その理由は何なのでしょうか?」

と尋ねたのですが、井上教授からは、

「私にもわかりません」

との答えでした。

もちろん、私も日本国憲法の理念は素晴らしいと思っています。「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」の3原則は絶対に守らなければなりません。

しかし、憲法の条文が不十分であるが故に、この3原則が危機に晒されているのも事実です。この3原則をより確固たるものとし、「権力を確立し統制する」ための「立憲的改憲」が今こそ必要なのではないでしょうか。

「憲法改正の議論をすれば、悪い方向へ流されてしまう」

という意見は、何ら論理的でなく、国民を馬鹿にした意見なのではないでしょうか。

関西学院大学 井上武史教授の「憲法改正の作法とは~フランスでの改憲プロセスを参考に」を講演後の質疑応答 シン国民民主党の第3回憲法調査会

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