「縦割り行政の打破」は本気か?
菅官房長官による総裁選出馬の記者会見。
「単なる安倍政権の継承か…」と失望した人が多いと思うが、私が唯一注目したのは「縦割り行政の打破」を強く打ち出した点だ。
私はこれまで、予算委員会や内閣委員会で、菅官房長官に対して、「縦割り行政を打破できるのは、政権の実力者である菅官房長官をおいて他にいない」として、「情報通信省」や「防災省」の創設、「マイナンバー行政」や「ダム行政(事前放流)」の一元化などを提案してきた。
質問する度に菅長官は、にっこり頷きながら、「私の所掌範囲ではありませんが、関係省庁と検討してまいりたい」と答弁されていた。
私は、「官房長官ができなければ、総理大臣以外できないってことじゃないですか」と声を大にして、再考を促してきた。
しかし、ここで総理大臣となれば、もう逃げも隠れもできない。
既に「ダム行政(事前放流)の一元化」は、菅長官の指示により、本年6月から実施されている。「マイナンバー行政の一元化」も、先日の記者会見で意欲を示した。
ドラマ「半沢直樹」をご覧の方は、銀行マンにとって人事がそれほど大事なのか、おわかりだと思うが、実は、銀行マン以上に人事が大事で、人事であらゆることが決まるのが官僚の世界だ。
その官僚人事を、歴代最長期間、官房長官を務めた菅氏は、完全に掌握している。その力を、悪い面で使うのではなく、「縦割り行政の打破」という良い面でぜひ使ってほしい。
そして、野党はこういう提案をどんどん総理大臣にしてほしい。
総理大臣に直接提案するチャンスは、実は与党よりも、野党の方が多い。
そして総理大臣に直接質問できるのは、唯一予算委員会だけだ。しかし、その予算委員会では、いつも質問するメンバーは同じで、質問内容も提案より批判が多い。
新しくできる合流新党は予算委員会のバッターも増える。ぜひ、予算委員会の質問内容をあらかじめ募集し、より良い質問をする議員をバッターにすることを提案したい。