被災者生活再建支援金は「半壊」も対象とすべき

衆議院災害対策特別委員会にて、被災者生活再建支援法改正の審議が行われ、質問に立ちました。

今回の改正で、これまで「大規模半壊(損害割合40%以上)」しか支援金が出なかったのが、新たに「中規模半壊(損害割合30%以上)」というカテゴリーが設けられて支援金が出るようになります。

一歩前進ではありますが、全国知事会や弁護士会が求めていた「半壊(損害割合20%以上)」は依然として対象になりません。

また、同様に全国知事会や弁護士会が求めていた「同一災害同一支援制度」も見送られました。昨年9月岡山県新見市では局地的な集中豪雨により大きな被害が出ましたが、豪雨の範囲が限られていたため、全壊した住宅が10戸未満との理由で支援金が支給されませんでした。岡山弁護士会は「法の下の平等を定めた憲法14条に反する」との強い抗議声明を出しています。

2つの課題の改善を小此木防災担当大臣に求めましたが、「全国知事会と内閣府の実務者会議で決まった結論であり、全国知事会も納得している」との回答でした。しかし、全国知事会は「納得している」のではなく、「納得せざるをえない」のです。

その理由は、被災者生活再建支援金の費用は「国と都道府県が折半する」ルールだからです。財政難に苦しむ都道府県とすれば、支援金の支給範囲が増えることでより一層財政が厳しくなることを恐れているのです。

ならば、解決策は簡単です。国が負担割合を増やせばいいのです。現在の5割負担を8割以上に引き上げるべきです。

被災者生活再建支援金は阪神淡路大震災をきっかけに始まった制度ですが、過去22年間の支援金の総支給額は5057億円です。この額は東日本大震災の復興予算32兆円のわずか1.5%に過ぎず、更に言えば、会計検査院から「復興予算の無駄遣い」と指摘された「不用額5000億円」と同じ金額です。

22年間の全国のあらゆる災害の被災者に支給された金額としては少なすぎるし、国はその数倍支給してもおかしくありません。

この点を小此木大臣に問うと、官僚が用意した答弁書では「国の負担割合を増やすことは『慎重に』検討する」との答弁でしたが、私の提案に真摯に耳を傾けてくれていた大臣からは

「『慎重に』という思いを持ちながらも、『しっかりと』検討してまいりたい」

と少しだけですが、前向きな答弁をしてくれました。

私からは

「財務省から予算を勝ち取ってくることが、政治家である大臣の最大の仕事であり、被災者支援は都道府県のせいにするのではなく、国が主導してやってもらいたい」

と申し上げました。

西日本豪雨災害を経験した国会議員として、「防災・減災」「被災者支援」はライフワークであり、この2つの課題が解決するまで、しつこく大臣に迫ってゆきます。

委員会質疑の模様(動画)

委員会質疑の模様(動画)です。ぜひご覧ください。

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小此木八郎 内閣府特命担当大臣(防災、海洋政策)に被災者生活再建支援法改正の審議について衆議院災害対策特別委員会にて申し上げました01 小此木八郎 内閣府特命担当大臣(防災、海洋政策)に被災者生活再建支援法改正の審議について衆議院災害対策特別委員会にて申し上げました02 小此木八郎 内閣府特命担当大臣(防災、海洋政策)に被災者生活再建支援法改正の審議について衆議院災害対策特別委員会にて申し上げました03