消費税、MMTに対する財務省の見解
「消費税はじめ税制改革」について有志議員で勉強会をやっています。
今週は、財務省主計局・主税局の課長クラスと立命館大学の松尾匡教授(※)からお話を伺いました。
(※)松尾匡教授とは、本年8月、「れいわ新選組」山本太郎代表とともに、昨年消費税を廃止したマレーシアの視察にご一緒しました。
「なぜ消費税増税なのか?所得税・法人税・金融取引税等の増税ではダメなのか?」との問いに対する財務省の答えは、
消費税は、
- 働く世代など特定の層の負担が集中することなく、国民全体で広く負担を分かち合うことができる
- 貯蓄・投資を含む経済活動に与える歪みが小さい
- 国境税調整により事業者の国際競争力に中立的
であり、「社会保障の財源を調達する手段としてふさわしい税だから」というものでした。
また、所得税・法人税・金融取引税等は、
- 景気に左右されやすく、社会保障を賄う安定財源にふさわしくない
- 累進性を強化しても、課税対象が限られ、十分な財源が得られない
- 増税すれば海外へ逃げられるし、法人税に累進性を導入すれば会社を分割される
のでふさわしくないとのことでしたが、平たく言えば、「取りやすいところから取る」ということだと思います。
「法人税の実効税率は大企業ほど低い(大企業ほど税金を払っていない)現実をどう考えているか?」との問いに対する財務省の答えは、
「租税特別措置などは見直す方向で検討している。ソフトバンクなどの大企業が法人税を納めていない現状は問題だと考えており、税制の抜け道を塞ぐ方策を検討している。」
とのことでした。
MMT(現代貨幣理論)に対する財務省の見解は、
「『国債を発行しても債務不履行(デフォルト)は起こらない』といういわゆるMMTの立場は取らない。我が国の国債が流通し、ギリシャやアルゼンチンのように財政破綻に陥らないのは、日本政府の返済能力に信任があるからで、その根拠は日本政府の「経済再生」と「財政健全化」への取組みが評価されているからだ」
との説明でした。
「自国通貨を発行する国では、デフレ下でいくら国債を発行しても財政破綻は起こらない。インフレになるまで国債の発行を増やしてもいいのでは?」との問いには、
- インフレになった途端に社会保障財源を切り詰めるのは難しい
- 物価政策(インフレの誘導)は日銀の役割であり、財務省は口を出せない
との回答でした。
であれば、例えば
「インフレ率2%になるまで、子ども国債を発行し、その財源で子ども手当を支給し、インフレ率2%になれば支給を停止することを宣言して行ってはどうか?」
との提案に対しては、財務省は無言。松尾教授からは「その手法は有効だ」との答えでした。
更に、「この際、物価政策も日銀から財務省へ移管しては?」との提案に対しては、
財務省は「私たちからは何とも…」とのあいまいな返事。松尾教授は「反緊縮3派(MMT、ニューケイジアン左派、信用創造批判派)は皆その提案と同じ考えだ」との答えでした。
MMT論者が主張する「雇用保証ブログラム(国債を発行し、政府が失業者を全て雇用する)」よりも、「子ども国債による子ども手当支給の方がいいのでは?」との提案に、松尾教授も同意してくれました。
松尾教授からは、「国債を発行し、インフレ率2%になるまでは地方が自由に使える交付金(地方一括交付金)を支給する」という提案もなされました。
財務省の任務は、財務省設置法第2条により「健全な財政の確保」と定められており、財政健全化が最優先事項です。しかし一役所の任務のために、日本経済や国民生活を犠牲にするわけにはまいりません。今、我が国が最優先でやるべきは財政健全化ではないはずです。