【マレーシア視察報告(その6)連合(労働組合)ソロモン事務局長】
【マレーシア視察報告(その6)連合(労働組合)ソロモン事務局長】
GST(消費税)は国民に人気がなく、これが政権交代の大きな要因となった。我々はGSTも含め、いかなる増税にも反対している。
マレーシア政府は税の公正な分配ができていない。
より大きな問題は、外国人労働者の流入によって賃金が下がっていること。1980年代以降労働者の賃金は下がっているが、これは外国人労働者に市場を開放してきた時期と重なる。
1990年代以降は、様々な業界で外国人労働者を利用し始め、その結果、エージェント(仲介企業)が利益を得るようになった。
賃金が停滞しているもう一つの理由は、政府が「賃金が上昇するとインフレになる」という間違った考えを雇用者(企業)側に刷り込んだこと。
我々は政権交代を喜んでいるが、残念だったのは、マハティール首相が、国連で述べた発言を覆し、最低賃金を我々の期待よりもはるかに低く抑える決定を下したこと。
政府の貧困ラインは国連よりも低く設定されている。マレーシア政府の公表する貧困層の数は3万人。国連報告書では500万人。このことを国会で問われ、マハティール首相は「確認する」と答弁したが、経済産業大臣は国連報告書を否定しており、心外だ。
我々は全ての労働者を支援するナショナルセンター。正規でも、非正規でも、外国人でも同じ扱い。外国人労働者の過度な依存が、賃金を引き下げる側面はあるが、外国人労働者を非難すべきではなく、我々が政府と考える問題である。