【マレーシア視察報告(その5)モハムド首相経済顧問】
【マレーシア視察報告(その5)モハムド首相経済顧問】
※昨年9月に消費税を廃止したマレーシアへ超党派議員団で視察(マレーシア大使館によれば国会議員の視察団は初めてとのこと)
GST(消費税)の方が課税制度としては優れている。GSTの実施方法に問題があったのであり、より低い税率で実施すべきだった。
国民はGST導入に不満を持っていた。増税しても、教育や福祉はよくならず、政権トップが税のムダ遣いをしていた。GST導入のタイミングも悪かった。
政権交代直後に諮問された「賢人会議」では、GST廃止ではなく、税率を下げることを提言した。しかし政治的に「GST廃止」を決断した。
財政面の課題は、まずは税収が下がること。代替手段としては、デジタル産業への課税、富裕層への所得課税、海外資産への課税等。特に、海外資産課税は「自己申告プロジェクト」で26万人の海外資産所有者をターゲットにしている。
月収5000リンギ(13万円)未満の世帯は所得税が免除されており、所得税を払っている世帯は13%に過ぎない。
マレーシアでは、年収100万リンギ(2500万円)以上は9000人しかいない。しかしベンツの所有者は1万8000人いる。多くの富裕層は申告せず、脱税している。また、マレーシアには相続税、株式譲渡税がない。
財政健全化は大切だが、タイミングが重要だ。米中貿易摩擦がこれほどひどくなり、日韓関係も悪化し、英国のEU離脱問題もある。今はタイミングが悪い。政府はもっと財政支出を増やすべき。財政赤字対GDP比3%目標が達成できなくても問題ない。経済成長率4%を見込んでおり、この目標を優先し、財政健全化は慎重に考えるべき。