【3月14日】財務金融委員会/トランプ大統領発言から、消費税と関税は同じようなものなのか?

○井林委員長  

質疑の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。  

○高井委員  

れいわ新選組の高井崇志でございます。  

今日は関税定率法の改正ですけれども、関税は、今まさにアメリカのトランプ大統領就任によって日本にとっても非常に大きな注目の的になっていますけれども、本来ならもっと充実した審議、実は櫻井理事が理事会では何度も充実した審議をと言いましたけれども、僅か二時間程度で採決というのは大変残念だということをまず申し上げておきます。  

今日は、法案の中身もさることながら、やはりトランプ大統領による関税の影響、これを議論しないわけにはいかないので、それを質問したいと思います。  

トランプ大統領は、ヨーロッパの付加価値税、日本でいえば消費税は、関税と同じようなものだ、そういう発言もしています。それから、トランプ大統領自身ではないですけれども、かつてから、共和党の方々あるいは今の政府高官は、消費税が持つ、輸出還付金という制度、これがある意味非関税障壁になっている、事実上の輸出補助金じゃないのかということを問題視していて、これは早晩、トランプ大統領も言ってくると思います。これは、実は我々も、れいわ新選組もかねてからずっと言い続けている、あるいは立憲民主党やほかの党の一部の方も言い続けている話ですが。  

そもそも付加価値税というのは、一九五四年にフランスで始まったとされています。それは、そのときに、ガットで輸出補助金というのは禁止をされているわけですけれども、それをかいくぐるためにこの制度を入れたと言われています。どういうことかというと、海外で輸出したものに対しては消費税をかけられないわけです。しかし、国内でそれを仕入れるときにそこの分には消費税を払っているから、その分を還付してあげようと。  

一見するともっともな制度なんですけれども、しかし、国内で支払ったとされる仕入れ分の消費税をきちんと払っているのであれば還付されてしかるべきなんですけれども、現実には払えていないんじゃないかと。特に大企業が下請企業に対して取引をする場合には適正に消費税分を払っているのかというのは大いに疑問であり、だからこそ、輸出補助金に事実上なっているんじゃないかと言われているわけですけれども、この辺、財務大臣、そういう位置づけにはならないんですか。  

○加藤国務大臣  

まず、全体として、我が国の消費税を含む付加価値税は、御承知のように財・サービスの消費が行われる消費地国で負担を求めるということでつくられている税であります。したがって、輸出国側では免税とした上で、輸出企業において、実際の仕入価格に含まれる仕入れ時に支払った消費税額が控除し切れなければその分を還付する、還付を受ける、こういう仕組みになっています。これは、国産品と輸入品との間で税負担に差を設けないという観点から、いわば国際的に共通した取扱いとされているところであって、決して輸出企業を優遇するものではないというふうに考えております。  

その上で、委員御指摘のような消費税分の不当な値引き等のケースについてでありますけれども、不当な値引きを強いることで消費税の適正な転嫁を妨げる行為に対しては、公正取引委員会において独占禁止法や下請法に基づいて厳正に対処されるものと承知をしております。  

また、こうした問題、まさに不当な値引きは、輸出企業であろうが国内向け企業であろうが不当な値引きを求めれば生じ得るという問題であり、付加価値税制自体の問題ではないと考えております。  

○高井委員  

実態として消費税の値引きというのはやはりあるわけですよ、特に大企業と下請企業という間には。そこをやはり前提で考えた場合に、制度が元々はらんでる内在的な問題だと私は思います。  

今日、公正取引委員会に来ていただいています。もう時間がないので二問まとめて聞きますけれども、そういった大企業が下請企業に対して消費税分をまけてくれ、そういう実態、件数は把握されているかどうかということ、それから、そういった行為をきちんと厳格に取り締まることは可能なんですか。二点、お答えください。  

○向井政府参考人  

お答えします。  

御指摘のような事例につきましては、いわゆる下請法が適用される取引におきましては、発注事業者が発注時に通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金を不当に定める、こういうものは買いたたきとして禁止をされておりまして、消費税分を上乗せして代金を設定しないという場合には問題となります。  

そして、発注後に、下請事業者の責任がないのに、発注時に決定した代金、これにつきまして減額をするということも減額として禁止をされておりまして、例えば支払い時に消費税分を減額をするという行為は問題となります。  

このような買いたたきや減額につきまして、消費税を理由として行われたというものについては集計はしてございませんが、令和五年につきましては、買いたたきについては八百七十九件、減額につきましては千九十件の指導をしておるところでございます。  

このような問題行為につきましては、公正取引委員会では、事業者からの情報提供を受け付けたり、大規模な書面調査を行うということを通じまして情報収集に努めてきておりまして、違反被疑行為がありますと厳正に対処しておるというところでございます。  

○高井委員  

僅か二千件弱ですよね、これだけ会社があって。しかも、その把握する方法は事業者からの情報提供、それから書面調査ですか。全然、全体を把握しているとは到底思えません。まず、大企業に下請企業がそんなのを申告するはずがないじゃないですか。泣き寝入りがほとんどですよ。そういう実態を考えると、相当な件数がある。  

そして、その分が事実上の輸出補助金になっている、還付されている。その額は、推計ですけれども六兆から七兆と言われています。これは、消費税の実に五分の一ですよ。二〇%以上ですよ。それだけを、消費税、皆さんが払った分が、輸出企業というのは大企業が多いですからね、輸出企業に六から七兆円が還付されている。  

やはりこの制度はおかしいですよ。消費税を導入したときに、私はそういう意図を持って入れたんだと。特に経団連なんかが消費税の引上げを盛んに主張するのは、やはりそういう意図があると言わざるを得ません。  

財務省と話すと、いや、そういうのを書いている文書を見ますけれども、そういう文献が、正式なものはあるんですかと言われます。確かに正式なものは残っていないですよ。しかし、逆に言えば、じゃ、財務省こそ、消費税を導入するときに、そういう目的ではなかった、輸出補助金という目的を持って入れたのではなかったと証明できる何か正式な文書が残っているんですか。財務大臣、お答えください。  

○加藤国務大臣  

まず、さっき委員がおっしゃった還付額六兆から七兆は、多分、全体の還付額ではなかったかというふうに記憶をしておりますが。  

その上で、今、フランスのお話がございました。消費税創設に当たって、あるいは各税の議論に当たっては、これまでの日本の歴史に加えて、諸外国においてどうなっているか、こういったことも勉強しながら制度を構築していくということであり、消費税の創設に当たっても当然そうした議論がなされたものと承知をしております。  

消費税については、昭和六十三年の政府税制調査会の中間答申でも明らかにされているように、所得水準の上昇を背景とした直間比率の是正、本格的な高齢化社会の進展に伴って見込まれる社会保障給付の急増への対応の必要性などを勘案し、税体系全体を通じた税負担の公平を図るべく導入されたものであります。  

御指摘のように、事実上の輸出補助金として導入された、こういう事実はございません。  

○高井委員  

六から七兆の推計の中でも、輸出大企業二十社にだけ限っても一・九兆円、これは、税理士さんが一生懸命調べて、輸出大企業二十社の決算書から推計して、これはほぼ合っていますよ。それだけの二兆円近いお金が輸出大企業に、トヨタ一社だけでも五千億とか六千億とか、還付をされているわけです。そういったことを考えれば、やはりこの制度には大きな問題がある。そして、大企業がなぜ消費税を増税したがるのか、この理由にもなりますので、今大臣が答えたのは全く私の質問には答えていません。それは、お題目では、消費税はそういうものでつくったに決まっていますけれども、裏の意図としてそういうことがあったんじゃないかという我々の予想に対して、何ら証明するものはないということをお答えになったと思いますので、引き続き、この問題は取り上げてまいります。  

ありがとうございます。