やり直しができない人生なんてない

昨年4月、自ら犯してしまった不祥事により立憲民主党を除籍処分となり、失意のどん底にいる時に、山本太郎代表からかけてもらった言葉は生涯忘れられません。

「やり直しができない人生なんてない。どんな失敗をしてもやり直しできる日本を一緒に創りましょう」

続けて山本代表は、

「でも、やり直すためには自分の過ちを心から反省し生まれ変わらなければだめです。そのために『DV加害者プログラム』を受けてみませんか?」

全てを失った私のことなどを気にかけてくださることに、涙が止まりませんでした。

一方で「DVを行ったわけではないのに…」という気持ちもどこかにありました。しかし、これほど私のことを考えてくださる山本代表のアドバイスにすがる思いで、プログラムを受けることにしました。

山本代表に紹介されたのは、DV被害者支援を行う一般社団法人「エープラス」が実施している「DV加害者プログラム」でした。毎週土曜日の夜2時間(19時~21時)最低1年間通い続けるのが条件でした。毎回4~5名のDV加害経験のある男性が集まり、吉祥(よしざき)代表をコーディネータとして話し合いを行います。

プログラムでは、参加者一人一人が1週間の出来事を報告し合い、お互いがアドバイスをしたり感想を述べ合います。参加者は苗字のみを明かして、職業などは明かさない約束です。

私以外の参加者は数年間、長い方は10年以上通い続けており、話をしているととても過去にDVを行ったとは思えない男性ばかりでした。

1年間毎週通い続けるうちに、「自分はDVとは無縁だ」と思っていたことが間違いだと気づかされました。

DVには、「身体的暴力」だけではなく、「精神的暴力」や「経済的暴力」もあり、私の中で最も欠けていたのは「パートナーを思いやる気持ち」と「コミュニケーション」であることがわかりました。

勉強を重ねていくうちに、日本の男性のほとんどが、実は「DV的発想」を心のどこかに持っているのではないか、と思うようになりました。

その原因は、子どもの頃から見てきた、教えられてきた「男尊女卑的発想」にあると思います。

私の経験で言えば、正月やお盆に親戚一同が集まると、食事の準備や片づけは全て女性だけが行い、男性はただ飲んだり食べたりしているだけでした。日本ではそれが当たり前だと、子どものころから刷り込まれていたように思います。

多くの日本男性の心の中に潜む「男尊女卑的発想」を根本から変えない限り、ジェンダー平等は実現しないと思い至りました。

既に1年以上通っていますが、まだまだ学びは道半ばです。でもこのプログラムを続けていけば、DV問題だけでなく、ジェンダー問題全般に対する理解が深まり、政策に活かせる気がしています。

吉祥さんはよく言います。

「ジェンダー問題は女性議員だけがやるからうまくいかない。男性議員が積極的に関わって欲しい」

全く同感です。1人でも多くの男性、特に男性政治家にこのプログラムを受けてほしいと願います。そして政治家は、ここで学んだ経験をジェンダー平等実現のための政策へ活かし、法律改正につなげていくことが重要です。

2021年の「ジェンダーギャップ指数」は、日本は世界156ヶ国中120位で、先進国では最低です。日本男性の中に潜む「DV的発想」「男尊女卑的発想」をまずは自覚することが重要です。その上で、その発想をどうやって変えていくのかを考えるべきです。

これからも山本代表から与えて頂いた「DV加害者プログラム」に通い続け、ジェンダー問題は、私のライフワークの一つにしたいと思います。