イタリア視察(その3)シヴィル市「市民保護局」、ボランティア団体「アンパス」

イタリア視察(その3)シヴィル市「市民保護局」、ボランティア団体「アンパス」

アプロッゾ州のシヴィル市(人口1.6万人)の「市民保護局」を訪ね、市長とボランティア団体「アンパス(公共支援協会)」の皆さんからお話を伺いました。

NPO法人「アンパス」はイタリアの4大災害ボランティア団体の一つで、全国各地で約10万人が活動し、テント、ベッド、トイレ、キッチンカー等の備蓄とそれを搬送する大型トレーラーを保有しており(予算総額5700億円)、アプロッゾ州には約1000名、シヴィル市には約50名のメンバーが活動しています。

災害が発生すると、州「市民保護局」から市「市民保護局」を通じて支援隊派遣の要請があり、メンバーを募り被災地に入ります。派遣期間は原則として1日から7日間で、法律で7日間までは休暇が認められています。国(政府)は、ボランティア参加者に日当、交通費、労災保険等を支給するとともに、雇用主に対しても補償するそうです。また7日間以上ボランティアを続けたい場合には、雇用主の許可を得れば続けることができ、その間の給与も国が補償します。

イタリアの避難所は、体育館等の屋内施設では足りないため、サッカー場や公園等の屋外にテントを設置することが多く、どの地域でも同じ基準のテント、ベッド、トイレ(シャワー付き)が備蓄されており、地域によって避難所環境が異なることはありません。

「アンパス」の財源は、政府からの補助金の他、自らが集めた寄付金で賄われています。

1避難所の収容人数は250名が基本で、1テントの定員は6~10名です。テント毎に冷暖房も完備され、トイレは20人に1台設置されます。食事はキッチンカーを活用し、料理人のボランティアによって、温かい食事が提供されます。

ボランティアの訓練は年2~3回行われ、テント、ベッド、トイレ等の設営や被災者の心のケア等の講習を受けるそうです。

カトリックの国イタリアでは、十字軍以来のボランティアの歴史があり、一番大きな災害ボランティア団体「ミッセルコルディア」は500年前から存在しています。

日本の災害ボランティアとは組織や性格が異なり、日本の消防団に近い気がします。(イタリアの災害ボランティアは80万人。日本の消防団員は87万人。ただし日本の人口はイタリアの約2倍。)

災害時におけるボランティアとの連携のあり方が大きな鍵を握ることがよくわかりました。イタリアの制度を参考にしながら、我が国でどのように取り入れていけるのか、さっそく検討してみたいと思います。