年間144兆円国債を発行してもインフレにならない(「MMT・反緊縮」財務省と10度目の質疑)

6月2日の厚生労働委員会において「MMT・反緊縮」をテーマに財務省と10度目の質疑。今回も宇波主計局次長ではなく伊藤財務副大臣が答弁。

以下は議事録の要約版です。詳しく(正確に)知りたい方は動画をご覧ください。

 

参議院調査情報室「144兆円国債発行してもインフレにならない」財務省も認める!?

(高井)財務省は「日本は世界で最も借金が多い国だ」と宣伝するが、自国通貨を発行できる政府の国債は、我々国民の借金とは違う。政府の負債は国民の資産になる。国債=借金という言い方は改めるべきだ。れいわ新選組の山本太郎代表が毎日演説で訴えているのが「毎月10万円を給付する。そのための財源は年間144兆円になるが、これだけの国債を発行してもインフレ率2%にならない。参議院調査室に試算してもらった」と。そこで山本さんに了解をもらって参議院調査室の試算データをもらい昨日財務省に渡しました。参議院調査室の試算では、4年間144兆円の国債を発行してもインフレ率は2%にならない。それどころか3年目、4年目にはインフレ率は下がっていく。この試算を財務省としてどのように考えるか。

(伊藤副大臣)国債残高とインフレとの関係は、マクロ的な需給の関係、家計や企業のインフレに対する予想など様々な要因によって決まるので、国債残高との関係のみで議論することは困難だ。ご指摘の参議院調査情報担当室の試算については、その試算の前提となる詳細が把握できないため、コメントは控えたい。いずれにしても、仮に財政運営に対する信認が失われることになれば、過度な金利上昇やインフレが起こる可能性があることは否定できないと考えており、こうした事態がいつ起こるかは事前に予測困難だ。よって財政運営に対する市場の信認が将来にわたって失われないように、社会保障の改革など経済再生と財政健全化の両立に取組むことが重要と考えている。

(高井)国債を発行し財政を運営する立場の財務省が、国債を発行して金利やインフレがどうなるか予想できないということ自体がおかしい。もちろん単純に国債発行額だけでインフレ率が決まるわけではないが、重要な要素であることは間違いない。政府にこういう試算を行う部署を創るべきで、財務省がやらないならば、内閣府や経済財政諮問会議などでやるべきだ。こういう話になると、財務省から予算権限を取り上げるべきとの議論になる。民主党政権発足時に国家戦略局で予算編成をやろうとしたが、9月の内閣発足から年末の予算編成まで時間がなく、財務省に任せてしまったが、それが民主党政権の最大の失敗だったと思っている。今の答弁で明らかになったのは、財務省は暗に参議院調査情報室の試算を認めたと思う。相当分厚い生データを全て財務省には渡してある。もしこれが間違っているならば間違っている部分を指摘するはず。私が見ても計量経済学のモデルとしては全く間違っていない。それを財務省も認めたと受けとめさせてもらう。

【動画】https://takaitakashi.com/archives/41498

国民一律10万円給付、事業規模に応じた給付金をやるべき

(高井)財務省と国債発行に関する見解が大きく異なりなかなか溝が埋まらないが、せめてコロナ禍だけでも国債をもっと発行すべきではないか。既に80兆円発行したと胸を張るが、全然足りない。これだか多くの国民が困窮しているのだから。山本太郎さんのように毎月とは言わないが、せめてもう一回10万円給付をすべきだ。12兆円でできるのだから。加えて事業者への補償。国民民主党が法案を出している「事業規模に応じた給付金」。これは実際にドイツで実施しており、1事業者に最大2億円まで支給する。我々の試算ではこれだけやっても6.5兆円でできる。このままでは倒産する事業者が続出する。感染者数だけでなく倒産件数や経済的理由による自殺者数なども発表すべきだ。財務省は追加の国債発行を決断すべきだ。

(伊藤副大臣)これまでも、緊急小口資金等の新規貸付、再貸付の継続、債務免除要件の明確化、生活困窮者自立支援金の支給、住居確保給付金の再支給の継続、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金、求職者支援制度等職業訓練の抜本的な拡充、休業要請等に応じた飲食店や大規模施設等に対する協力金、またそれらに類する持続化給付金、一時支援金、月次支援金などを行っている。引き続き新型コロナの影響を受け厳しい状況のある方々や事業者をしっかり支援してまいりたい。

(高井)副大臣も官僚が書いた原稿を読まされて大変だと思うが、そんなものでは済まないレベルになっている。総合支援資金を延長しても1400億円。自立支援金だって500億円だ。さきほど言った144兆円などというレベルの話ではないのでぜひこれはやってほしい。

【動画】https://takaitakashi.com/archives/41531