特措法改正案に反対する理由~「北風(罰則)」と「太陽(万全の補償)」はセットで

特措法と感染症法の改正案がわずか1日半の審議で衆議院本会議で可決された。

「コロナ対策は与野党争うべきでない」というのが私の持論だが、私権の制限を伴い、国民に罰則を科す法律が、わずか1日半の審議で改正されるというのは、極めて異例であり、問題だ。

国民民主党会派は、こちらも異例だが、内閣委員会で審議中の昼休憩中に政調会議を開き、「自民党・立憲民主党が合意した修正案」も含めて法案に対する賛否を議論した。政調副会長兼第一部会長としての初仕事が重要法案審議となったが、議論の結果、以下の理由により「反対」となった。

特措法改正案 国民民主党会派の反対理由

1 補償が不十分

「時短要請に応じた飲食店等に対する補償は、一律6万円ではなく、事業規模(売上高、従業員数、店舗数等)に応じて行うべき」というのが我々の主張だが、これが盛り込まれなかったこと(附帯決議でも大臣答弁でも担保されず)。

2 国民の権利制限に対する国会の関与が不十分

国民に命令や罰則を科すにも関わらず、国会の承認・報告がなく、政府が勝手にできてしまうこと(民主的統制がほとんどない)。

3 緊急事態宣言の効果が不十分

平時と緊急事態宣言の間に「まん延防止等重点措置」というグレーゾーンを設けたものの、罰則があるなどその内容は緊急事態宣言とほとんど変わらないため、緊急事態宣言の効果が薄れてしまうこと。

4 審議のプロセスが不十分

私権の制限を伴う重要法案がわずか1日半の審議で行われ、かつ、国会審議前に修正協議が合意されたため国会審議が事実上無意味となってしまったこと。

「日本版PPP」の創設

ただ、我々は「政策提案型野党」として、単なる「反対」ではなく、きちんと「対案」を用意している。既に玉木代表から指示を受け「日本版PPP」の制度創設を準備している。

PPP(ペイチェック・プロテクション・プログラム)とは、米国で実施している制度で、時短要請等が行われた事業者に対して融資を行い、その後実績に応じて返済を免除する制度。

政府が事業規模に応じた補償に反対する理由は「支給に時間がかかること」だが、この方式であれば、とりあえず融資という形で支給し、後から精査した上で、真の補償額を確定し、差額は返済してもらえばよい。

こうした現実的かつ具体的な制度を提案し、多くの国民が待ち望んでいる「万全の補償」を実現するため、国会議員でなければできない仕事に全力を尽くす覚悟だ。