第3次補正予算はコロナ対策と言えるのか?

衆議院本会議3次補正予算反対討論05

第3次補正予算が可決・成立しました。

この時期の補正予算ですから、当然「コロナ対策の予算」だと思いますよね?

ところが、コロナ対策は半分程度。残り半分はコロナとは関係ない予算です。

その原因は、この予算案を作り始めたのが昨年11月だからです。この2ヵ月間でコロナ感染の状況は一変したのに、政府は1円たりとも見直しませんでした。

さすがにこれでは賛成できません。国民民主党は「コロナ対策に特化した予算」に作り変える対案をつくることとし、私がその作業を担当しました。

コロナ対策以外の予算は一部を除いて全て削り、その分を「医療機関への経営支援」「一人10万円の追加給付」「総合支援資金の再延長」「時短要請協力金の追加」「持続化給付金・家賃支援金の延長・増額」等に振り向け、足りない分は国債発行で賄いました。

この作業を担当したことから、予算委員会と衆議院本会議に登壇し、反対討論することになりました。

菅総理はじめ全閣僚に直接訴えるチャンスであり、短い時間ですが精一杯想いを伝えました。反対討論ではありますが「批判」ではなく「提案型」で。

※動画を視聴する際は音が出ますので音量にご注意ください

以下はその原稿です。ぜひご一読ください。

衆議院本会議「第3次補正予算」反対討論

国民民主党・無所属クラブの高井崇志です。会派を代表して、ただいま議題となりました、令和2年度第3次補正予算に反対の立場から討論をいたします。

冒頭、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々にお悔やみを、今なお闘病されている方々にお見舞いを、そして最前線で命を守ってくださっている医療従事者はじめコロナ禍と闘っているすべての方々に心から感謝を申し上げます。

第3次補正予算の編成が指示されたのは昨年11月10日。閣議決定は12月15日。その時から状況は一変しています。本年1月7日には2度目の緊急事態宣言が出され、多くの国民は「コロナ対策に特化した補正予算」が当然組まれるものと期待したことでしょう。しかし、政府は一切見直しを行わなかった。それどころか財務省は「見直しの検討すら行っていない」ことを明らかにしました。

補正予算案にある「デジタル化」「カーボンニュートラル」「不妊治療支援」などは大いに進めるべきです。しかし、今、国民が補正予算に期待しているのは「コロナ対策」です。菅政権の重要政策は堂々と当初予算に計上すべきです。近年霞ヶ関官僚の間では「重要な政策は補正予算で」というのが暗黙の了解となっています。一体いつまでこんな状態を続けるのでしょうか。「補正予算が無ければ重要政策は進まない」そんな状況は一刻も早く改善すべきです。

今国民が最も心配しているのは「医療崩壊」です。民間病院がコロナ患者を受入れられないのは赤字になるからです。コロナ患者1人を受け入れるのに、3~4つのベッドを潰さなければならない。しかしその赤字分は今の補助金では補填されません。諸外国ではコロナ患者を担当する医師や看護師には倍の給与が支払われる国もあるのに、わが国はボーナスまでカットされている。「補助金の使い道を変えるだけで医療崩壊は防げる」「医療現場からは強い要望がある」と我々がいくら提案しても厚生労働省は聞く耳を持ってくれません。菅総理は1月11日には神奈川県のコロナ対策責任者の阿南医師から、1月16日には東京慈恵医大の大木教授から我々の提案と同じことを提言され、「わかりました」「久しぶりに明るい話を聞いた」と応じたと報道されていますが、今なお改善されていません。昨日の予算委員会での後藤委員との議論を聞いていても、菅総理は我々や阿南医師、大木教授からの提案を誤解されているように思います。「補助金の使い道の変更」であればそれほどの予算は必要ありません。これで医療崩壊はかなり防げます。多くの専門家や現場の医師がそう言っています。今すぐ厚生労働省に指示を出してください。

国民民主党は緊急事態宣言発令後、オンラインで国民から意見や要望を集めたところ、短期間で2200件あまりが寄せられました。その中で最も多かったのがお金と住まいに関することで、「現役世代への10万円一律給付」や「総合支援資金の貸付枠拡大」への要望が特に多かったです。年度内に執行できるとは到底思えない「GoToトラベル」に1兆円以上の予算を使うならば、数百億円の予算で多くの生活困窮者を救うことができる「総合支援資金の貸付枠拡大」の方がはるかに効果的です。現行予算案の枠内で十分できます。

国民民主党は、国民の声に寄り添い、政府が見落としがちなきめ細かな政策も含めて、「政策提案型の改革中道」政党として、引き続き政策提言を続け、一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束に全力を尽くしてまいります。ぜひとも我々の提案に耳を傾け、一つでも多く採用してもらうことをお願いして、討論といたします。ご清聴ありがとうございました。

予算委員会「第3次補正予算」反対討論

私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の令和2年度第3次補正予算2案に反対、国民民主党・無所属クラブ提出の組替え動議に賛成の立場から討論いたします。

政府案に反対する理由の第一は、新型コロナウイルス対策に特化した予算ではないからです。第3次補正予算の閣議決定は昨年12月15日。しかしそれ以降、新型コロナウイルス感染は急拡大し、1月7日には緊急事態宣言が発令されました。今、国民が何より求めているのはコロナ対策です。「なぜ見直さなかったのか?検討はしたのか?」との質問に、財務省は会派のヒアリングで「検討すらしていない」と発言し、本当に驚きました。我々は「マイナンバーカードの普及」や「カーボンニュートラル基金の一部」「不妊治療支援」など一部を除いて、コロナ対策以外の予算は全て撤回する組替え動議を提出しており、ぜひご賛同頂きたいと思います。

反対する理由の第二は、コロナ対策の予算も不十分だからです。「医療提供体制の確保等」に1.6兆円を計上されていますが、交付金の使い道が限定されている現行制度では医療ひっ迫は解消されません。我々はこの使い道をコロナ患者を受入れた民間病院の赤字の「減収補填」に充てられるよう組替え動議を提出しています。また、何より家計支援が全く足りません。長引くコロナ禍により国民生活は相当疲弊しており、「現役世代に対する10万円一律給付」を今すぐ行うべきです。我々は所得税の10万円還付という簡易な手続き方法を併せて提案しています。また、我々の意見募集で特に要望が強かったのが、「総合支援資金の貸付枠拡大」です。「緊急小口資金」は1回限りですが、「総合支援資金」は6ヵ月間月20万円貸し付けるもので、コロナ禍で生活が苦しい方々からは、その貸付期間の延長を強く要望されています。厚労省は「これ以上借りる人は生活保護に」などと言いますが、要望されている方々はあと3ヵ月か半年貸してもらいたいだけなのです。10年間の無利子融資ですから、返済は月1万2千円。コロナ禍が収束すれば十分返済可能な金額です。ぜひ貸付期間の3~6ヵ月の延長を実行してください。このほか事業者支援、雇用・所得の安定支援、地方創生臨時交付金、学生支援も全く足りません。あらゆる点で不十分であり、我が会派は総額27.5兆円の歳出を追加する組替え動議を提出しておりますので、ぜひご賛同ください。

以上が、政府提出の2案に反対、国民民主党・無所属クラブ提出の組替え動議に賛成する理由です。

なお、立憲民主党及び共産党提出の組替え動議については、10万円給付が入っていないという点で国民民主党案と大きく異なりますが、新型コロナウイルス対策に最大限予算を振り向けるべきという考え方自体は一致しており、賛成いたします。

また、日本維新の会提出の組替え動議については、事前提示がなく精査の時間がありませんでしたので、反対とさせていただきます。