医療崩壊の責任は民間病院?厚労省?

日本の病院(20床以上)は8200あるが、このうちコロナ患者を受入可能な病院は1700(21%)、受入実績がある病院は1350(16%)のみ。

また日本全国に病床(急性期)は73万床あるが、コロナ患者を受入可能な病床数はわずか2.8万床(4%)に過ぎない。

病床数はアメリカの3.2倍、フランスの2.5倍、ドイツの1.3倍ありながら、コロナ患者数は圧倒的に少ない日本で、医療崩壊が危惧されるのはコロナ患者を受入れる病院・病床が圧倒的に少ないからだ。

その理由は「日本の病院の8割が民間病院(欧米では1~3割程度)で、民間病院がコロナ患者を受入れないから」だと言われている。

民間病院がコロナ患者を受入れられないのには様々な理由がある。その原因を把握し改善に努めることが厚労省の役割のはずだが、「コロナ患者を受入れていない民間病院に対して厚労省はどのような対策をとっているのか?」と尋ねても答えは返ってこない。

特措法(31条)には「都道府県知事は医療関係者に対してコロナ対応医療を要請・指示できる」との規定があるが、この規定は発令されたことはないそうだ。

「ボトルネックは何か?どう分析しているのか?」と尋ねても、「分析できていない」との答え。

年末年始にようやく1床あたり1950万円(1500万円+450万円の上乗せ)の補助金を決めたが、これによって増える病床数の見込みも算出していない(予算額は2.8万床が1.5倍増えても足りる額だそうだが…)。

「補助金はコロナ対策経費には使えるが、損失補填には使えないため、民間病院は二の足を踏んでいる」と指摘しても、改善しようともしない。

民間病院がコロナ患者を受入れられない最大の理由は赤字になってしまうからだ。1950万円の補助金を損失補填にも使うことができれば、コロナ患者を受入れる民間病院はもっと増えるはずだ。この補助金の予算額(予備費)は2700億円。まだ4兆円もの予備費が残っているのだから、ここは出し惜しみすることなく使うべきだ。

医療崩壊の危機を招いた原因は、民間病院ではなく厚労省にある。

今こそ厚労省は、都道府県や民間病院に責任を押し付けるのではなく、病院間の連携や役割分担の見直し、財政支援等の様々な政策を組み合わせて、日本の医療体制を再構築するリーダーシップを発揮すべきだ。