豪雨により決壊した小田川の原因究明と今後の河川改修についてお話を伺いました。

岡山河川事務所の今岡副所長、常保副所長を訪ね、今回の豪雨により決壊した小田川の原因究明と今後の河川改修についてお話を伺いました。

平成9年の河川法改正により、「基本方針」と「整備計画」を定めることとなりましたが、高梁川水系の「基本方針」を定めたのは平成19年、「整備計画」を定めたのは平成22年です。

「基本方針」は100から200年に一度の洪水に備え、「整備計画」は戦後最大級の洪水に備えるために策定することとなっており、「整備計画」は30年間で整備する計画となっています。

ちなみに世界各国の治水計画を見ると、オーストリアのドナウ川は1万年に一度、オランダのライン川は1250年~1万年に一度、イギリスのテムズ川、中国の長江は1000年に一度、アメリカのミシシッピ川は500年に一度の洪水に備える計画を立てており、日本の治水対策がいかに貧弱であるかがわかります。

今回決壊した小田川は、まずは10年間かけて行う予定だった高梁川合流地点の付け替え工事をできる限り前倒しするように、今工法の見直しを行っているそうです。それが完了した後に、今回決壊した部分を含めて、整備計画の基準に足りない堤防のかさ上げを行うそうです。

「整備計画」を定めたのは平成22年ですが、未だこの計画に着手できていません。平成9年の河川法改正から既に21年が経ち、未だに整備計画に着手できていない。更にここから30年かかるのでは、いったいいつになれば安心して暮らすことができるのでしょうか。

我が国の河川関連予算はピーク時の4割にまで減っています。財政が厳しい昨今、これまでのダム建設や堤防強化などのハード中心の治水対策をそのまま続けるのか、危険な地域には住まないようにするといったソフト中心の防災対策に移行するのか、そろそろ災害大国日本は大きな選択を迫られています。