ラグビーW杯での日本代表の勝利

ラグビーW杯での日本代表の勝利。子どもの頃からラグビーファンだった(部活はサッカーでしたが…)私にとっては「奇跡」としか言いようがない快挙だ。

ただ、34得点中一人で25得点をあげた五郎丸選手が「必然です。ラグビーに奇跡はない」とコメントしている通り、0-1のような試合の多いサッカーとは違い、ラグビーに番狂わせはまずない。さらに、ラグビーはトップチームとそれ以外のチームのレベル差が大きく、W杯優勝国は豪、Nz、南ア、イングランドの4カ国しかない。この試合の英国ブックメーカーのオッズは南ア勝利に1.0倍で、賭けが成立しなかったそうだ。これだけでも、日本勝利がどれだけすごい快挙なのか、おわかりいただけると思う。

深夜2時過ぎ。テレビで観ていて、後半20分くらいまでは、「最後には点差がつくだろう」と過去のラグビー観戦経験から思っていたが、後半残り10分、五郎丸の見事なトライで同点に。「これは、ひょっとしたら、ひょっとするかも」と思い始めた。

コメンテーターの皆さんは、あまりこの点に触れていないが、私はこの試合の大きな分かれ目が、後半32分の南アの攻撃だったと思う。ゴールライン目前での日本の反則で、南アがペナルティゴール(PG)を選択したこと。私は「なんでトライを狙わないの?」と思ったが、同点だったので確実に3点を取りにいったのだろう。テレビに向かって「ええー、消極的。これが命取りになるんじゃないの。」と思わず口走ったが、まさにその通りになった。

対照的に日本は、後半40分。もうラストワンプレーにもかかわらず、PGを選択せずにトライを狙いに行った。私は思わず「絶対PGを狙うべき。同点でいいじゃん。南ア相手に歴史的引き分けだよ。」と言ったが、日本代表はあくまでも強気に攻め続けた。後で聞くと、リーチ主将は迷わず決断したとのこと。試合後ジョーンズHCが「リーチの勇気を称えたい」とコメントしたとおり、本当に英断だった。(ベンチでは意見が分かれていたらしいが、プレー中の選手からは「トライを狙おう!」の声ばかりだったそうだ。)「守りに入った南ア」と「失うもののない日本」。この気持ちの差が勝敗を分けたと思う。

それともう一つ付け加えるならば、この勝利は日本代表の練習量の多さ、厳しさの賜物のようだ。朝5時から練習のハードな合宿を4月からの5ヶ月で130日も行ったとのこと。さらに、8月の代表合宿にはこの日のフランス人主審を日本に招き、審判の癖を掴むという対策を採ったとのこと。(確かに、主審のジャッジが味方をしたような気がしていました。)こうした用意周到な準備を行ってきたことを考えれば、まさに「勝つべくして勝った」と言える。

実は、この日は、安保法案を通してしまった翌日。思わず、時と場合をわきまえずに、「こんな素晴らしい試合を観れて、幸せ!」とコメントしてしまった。不快な思いをさせてしまった方には、申し訳ありません。

ただ、闘いに敗北し、意気消沈する中で、日本代表の勝利によって、「あきらめなければ勝てるんだ」という勇気を頂きました。

今まで、「スポーツうんちく」はほとんど書いたことがないのですが、今回ばかりは書かずにはいられませんでした。それほど「この勝利は凄い!」です。