防災省の創設を
東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風15号、19号、21号。
残念ながら、昨年7月の西日本豪雨災害の教訓が活かされたとは言い難く、被災を経験した国会議員として忸怩たる思いだ。
倉敷市真備町の避難所(岡田小学校)で知り合った「避難所・避難生活学会」榛沢和彦会長(新潟大教授)から「日本の災害対策は遅れている。防災先進国イタリアに学ぶべき。一緒に見に行きましょう」と誘われ、昨年末イタリアを訪れた。
西日本豪雨災害の経験とイタリアで学んだ知見をもとに、「避難勧告・指示の在り方」「避難所の運営方法」「被災者支援制度の改善」「ダムの事前放流」等々政府に対して繰り返し具体的提案を行ってきたが一向に改善されない。
日本の災害対策が遅々として進まない最大の原因は、「災害対策の司令塔」の不在だ。
政府の災害対策は内閣府の一部局(防災担当の政策統括官室)が担っており、職員数は約100名。その大半が各省庁からの出向者で、2~3年で各省庁へ戻ってしまう。これでは災害対策のノウハウは蓄積しない。
イタリアは日本の人口の約半分だが、災害対策を一元的に担う「市民保護省」があり、700名の専任職員が働いている。更に驚いたことに、同省の建物の中に、48のボランティア団体が一部屋ずつ与えられており、必ず誰かが常駐している。
災害対策の法律は全て「市民保護省」が所管し、法律によって、災害発生から30分以内に災害対策本部会議が招集され、24時間以内に被災地へ国・県・近隣市町村とボランティア団体が連携して救援に入ることが決められている。実際、2016年のイタリア中部地震の際は、午前4時の発災だったにもかかわらず、午前4時30分に会議が開かれ、午前5時に救援部隊が出動している。
日本では被災自治体からの要請がないと自衛隊も出動できない。避難勧告・指示を出す、避難所を開設・運営する、自衛隊の派遣を要請する、ボランティアを募集する等々全てが市町村長の判断に委ねられている。
市町村の規模や、首長の資質によって、災害対策に差が出てしまうことは避けなければならない。そのためには国(政府)が強いリーダーシップを発揮することが必要だ。
「災害対策の司令塔『防災省』を創設すべき」
衆議院本会議で安倍総理に、内閣委員会で菅官房長官に、災害対策特別委員会で防災担当大臣に、繰り返し提案しているが、残念ながら前向きな回答は返ってこない。
今国会から、志願して「災害対策特別委員会」に入れてもらった。地球温暖化の影響でこれからますます台風や豪雨災害は頻発し、大規模化する。南海トラフ地震の可能性も80%を超えている。災害対策はまったなし。我が国の最重要課題だ。これからも粘り強く「防災省」の創設を求めてゆく。