【マレーシア視察報告(その3)経済省スタンドラ・マクロ経済局長他6名】
【マレーシア視察報告(その3)経済省スタンドラ・マクロ経済局長他6名】
※昨年9月に消費税を廃止したマレーシアへ超党派議員団で視察(マレーシア大使館によれば国会議員の視察団は初めてとのこと)
経済省は、2018年5月まで首相府直轄の経済企画庁だったが、政権交代後、これまでの「マクロ経済計画」に加えて、「統計」や「福祉の再配分(貧困対策、格差是正)」、「13州の平準化」、「国営石油公社ペトロナスの監督」等を担う他、「経済活動協議会(首相が議長)」や「国家計画委員会(官房長官が議長)」の事務局も担っている。
マレーシアは1992年以降ゆるやかなインフレのもと経済成長を実現してきた。1971~2018年までの経済成長率は平均で6.1%。
1997年以降は財政赤字が拡大し2009年に最大化。当時政府債務の対GDP比は6.4%であったが、現在は3%まで回復している。
競争力ランキングでは世界第25位(日本は5位)。
2018~20年の3ヵ年経済計画のポイントは以下のとおり。
・経済成長と財政均衡を図る
・全国民に開発の便益を共有
・各州間の格差の解消
・新たな技術的課題に向け、構造改革を断行
・政府の透明性を高め、行政の効率化を図る
財政健全化は重要だが経済成長はもっと重要。経済が成長すれば、財政も健全化する。財務省は各省ごとのシーリングを設けたがるが、経済省は常に反対している。成長分野に上限があると成長が制限される。
インフレ率は低いが、住宅価格をはじめ「B40」(年収の低い40%の層)にとっての物価は高い。
財政赤字を対GDP比3.7%から3%まで引き下げる目標があるが、当面難しいと考えている。
GST(消費税)廃止の影響もあり、2018年の公共投資は減った。米中貿易摩擦などにより世界貿易も厳しい状況。そのような中で経済成長率4.7%は凄い。これはGST廃止による消費の増加が寄与しているため。
マレーシアでは低いインフレ率しか経験していない。国民はインフレよりも生活費の高騰に対して敏感。そのため政府は、低所得者層の所得を増やす取組みを重視している。SST(売上・サービス税)の特徴は、課税対象が限られており、より低所得者にとってやさしいこと。