【5月8日】衆議院・総務委員会/NTT法廃止に対する考えと活動実態を問う

○竹内委員長
休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。高井崇志君。
○高井委員
れいわ新選組の高井崇志でございます。
今日は、山川委員に代わって、私は総務省出身で、しかも、この電気通信事業法をずっと総務省時代に担当して、湯本局長の部下として働いてきたので、進んでちょっと今日はやらせてほしいということで、差し替えで代わらせてもらいました。
ただ、この法案の審議に入る前に、ちょっと私はどうしても聞きたいことがございます。それは、SNSの誹謗中傷あるいは虚偽情報の問題です。
これは、実は私の友人の話なんです。私の友人は全くの私人です。百歩譲ってというか、私なんかはしょっちゅうSNSで誹謗中傷の嵐でして、何か慣れてしまって、何を書かれても平気になってしまったんですが、やはり、公人と私人、私は分けて考えるべきで、一般の私人の方に、しかも虚偽の情報が書き込まれていて、しかも、それは明らかに事実誤認なんですね、間違っている情報です。それは幾らでもすぐに証明書とか出せます。
しかも、その誤った情報によって、その人は、私の友人は仕事を失いかねないような危機に陥り、そして、書き込まれた当初はちょっと精神的に不安定になって、私は、本当に大丈夫かな、本当に命まで失うんじゃないかというぐらいの危機を覚え、そして相談を受け、私の知り合いの弁護士にも相談をして、事業者名も言いますけれども、Xです、X社に対して削除要請をしました、弁護士からもしました。
ところが、削除する要件がいろいろあって、プライバシーとか誹謗中傷にクリックしてそこに書き込むんですけれども、虚偽の情報というのはないんですね。偽りの、うその情報という項目はないので、仕方ないから、でも、その虚偽の情報によって仕事を失いかねないわけですから、これはプライバシーであったり権利侵害であるということで、弁護士もそういうふうに削除要請したんですけれども、削除してもらえないんですよ。
それで、私は一応こういう仕事もしていますから、総務省に相談をしました。総務省からXの担当者の方も紹介していただいて話をしましたけれども、Xの利用規約上、間違った情報では削除できないんだというわけです。
いや、でも、これは明らかに間違っていることを証明できるし、しかも、仕事を失いかねない、命まで失いかねない、そんな危機なのに対応しないんですかと言っても、いや、無理ですと。そして、裁判してくださいというか、仮処分をやれば、要するに、虚偽かどうかの判断を第三者、裁判所がしないと対応できないというわけですけれども、私も弁護士に聞きましたけれども、やはり仮処分申請でも最低でも三、四十万ぐらい弁護士費用がかかって、裁判の費用が、そして、削除するのにも二、三週間かかるんですよ。そんなことをしているうちにどんどんこの情報は拡散されていくわけですから。
情報流通プラットフォーム対処法というのがこの四月から施行されていますけれども、やはりこれはまだ不十分。
この法案、いろいろな問題、表現の自由との関連で確かにあるけれども、こういう一般の私人が、しかも、明らかに間違った情報で仕事も命も失いかねない、こういう状況が分かっていながら何も対応できないというのは、明らかに法律もおかしいし、それから、法律が追いつかないんだったら、総務省にやはり対応していただきたいですよ。こういった、やはり本当に一人一人の人が命まで失いかねない問題なんです。
今、川崎でストーカー事件が結構ニュースになって、あれを見たら、みんな、警察の対応はひどいと思うじゃないですか。私はそれを見たときに桶川ストーカー事件というのを思い出して、過去の記録を全部読んでみました。ひどいですよ、警察の対応は。本当に人の命を何だと思っているんだと。
だけれども、申し訳ないけれども、今の総務省だって、今や、こういう、刑事事件じゃなくてSNSで命を失いかねない、そういう問題がたくさん発生しているんですから、本気で私は総務省はこの問題に取り組んでいただきたいと思いますが、大臣ならこの気持ちを分かっていただけると思うので、是非大臣、これは前向きに考えていただけませんか。
○村上国務大臣
高井委員のお気持ちは、この資料を全部読まさせてもらって、お気持ちはよく分かります。
難しいのは、法律というのは全ての事象に全部対応できるとは限らないわけで、それで、ある程度こういう表現の自由とかいろいろなものとの兼ね合いで、その限界事例をどこで引くかというのは非常に難しいかと思います。
ただ、この事例を皆さんに教える必要はないんだけれども、難しいのは、多分、この会社が言っているのは、具体的事実の摘示であった場合には、あえてそれを削除するに当たらないという多分判断をしたんじゃないかなという気がします。
ただ、これについては、私は前に共産党さんの御質問のときに、兵庫県の県会議員が亡くなられたときには、本当に大変な事態になっているなと思いました。
ただ、問題は、これは法律でどう縛るかよりも、国民全体が、選挙に含めたこのSNSに対してどう立ち向かうということをみんなで考えないと、最終的には結論は難しいかなと感じています。
そういう前段階を置いて、一応答弁はしてみます。
SNS上の誹謗中傷といった違法、有害情報は、短時間で広範に流通、拡散し、現実の国民生活や社会経済活動にも重大な影響を及ぼし得る深刻な課題であると認識しております。
本年四月一日に施行された情報流通プラットフォームの対処法は、インターネット上の違法、有害情報に対応するため、大規模なプラットフォーム事業者に対し、削除対応の迅速化及び運用状況の透明化を求めることを内容としております。
同法の規律対象である大規模なプラットフォーム事業者については、総務省において先月三十日に、SNSを運営する主要な五事業者を指定したところであります。
総務省としましては、情報流通プラットフォームの対処法の削除対応の迅速化等の規律の効果を検証するとともに、更なる対策についても不断に検討していきたいと考えております。
これが一般の答弁であるんですけれども、先ほど申し上げたように、例えば委員の具体的な問題に言わせていただくと、本当の誹謗中傷に当たるのかどうかという判断があると思います。それからもう一点は、どう言ったらいいのかな、それを法によってどこまで制約できるか。それはやはり刑法でもあるんですけれども、例えば、この間の兵庫県の知事選挙では、ある候補が外国人参政権について賛成じゃないのに流布された、それを打ち消している間に選挙が終わってしまった。だけれども、その何を言っているか言っていないというのは誹謗中傷じゃないわけですね。それを、じゃ、法律で取り締まるとなると、これはなかなか難しい面があるんじゃないかなと。
ただ、委員の気持ちはよく分かりますので、総務省としましても、今後、具体的にもっと的確に対応できる何かいい方法がないかということは引き続き検討していきたい、そういうふうに考えています。
○高井委員
法の限界をおっしゃるのは分かります。ただ、例えばストーカー規制法だって、なかったときは何もできなかったんですよ。
だけれども、ああいう法律ができて、しかも何度も事件が起きて何度も改正されて、何十年もかかって今、それでもああいう川崎のような事件が起こっている。私は、やはり法律は不断に見直していくべきだから、法改正も求めたいと思います。
ただ、今時点で私の友人が受けている、いまだに削除されていないんですよ、こういうようなことは、行政の運用としてやはりやるべきじゃないですか。偽りの情報、単なる偽り、しかもそれは、どっちが正しいか分からないというようなものを全部削除なんかできるわけないけれども、明らかに証明できて、しかもそれが仕事や命まで失いかねない、そういう状況がちゃんと伝わったときには、これは本来はX社が対応すべきだし、それに対応しないのであれば、総務省がやはり国民の利用者の側に立って寄り添っていただく。
これは、私は国会議員だから、あと総務省出身だから、総務省の担当者と話ができたけれども、本来であれば、一般の利用者であれば、利用者相談センターというのがあるんですよね。こういうところをもっとちゃんと、でも、ここが相談して何か対応してくれると思えませんよね、だって、国会議員が言って総務省の課長から連絡してもXは対応してくれないんですから。
だけれども、そんなことで本当にいいんですか、やはり個々の事象を見てくださいと。確かにいろいろな申請が来るから、全部をさばけないし、一律にできないかもしれないけれども、だけれども、誤情報や偽情報は一切削除できないんだみたいな、そういう紋切り型の基準じゃなくて、やはり個別の状況を見て、本当にその人が困っていて命まで失いかねない、そういう状況なのであれば、私はこれは対応していただきたいと思いますが、総務省の玉田総括審議官、事務方責任者だと思うので、こういう声を受けたら、総務省として何らかやはり対応していただけませんか。お願いします。
○玉田政府参考人
お答えを申し上げます。
今大臣からも御答弁申し上げましたように、本年四月一日施行の情報流通プラットフォーム対処法では、削除対応の迅速化、運用状況の透明化を求めておるところでございます。
総務省としましては、この情プラ法の削除対応の迅速化等の規律等の効果を検証するということは非常に大事なことだと思っております。あわせまして、更なる対策についても不断に検討してまいりたいと考えております。
○高井委員
ここまで国会で取り上げて、もしこれが削除されなかったら、もう同じような被害に遭っている方は絶望しかないですよ。
総務省の電気通信相談センターなんか、電話したって絶対解決しないと思うじゃないですか。
まず隗より始めよというか、この一個からやってください。本当にお願いします。
これは、申し訳ないですけれども、来週政治改革特別委員会が開かれることがさっき決まりましたので、また、総務大臣、出席いただけるようですので、選挙の誹謗中傷問題もありますから、引き続きこれはちょっと取り上げますので、是非、やはりここは本当に見逃しちゃいけないところだと思います。
大臣、本当に、本当に人の命が何人もこれで失われているんですから。
著名人が自殺したらニュースになるけれども、一般の人は亡くなっていたってニュースになっていないかもしれませんよ。
私の友人が亡くなったって多分ニュースにならないですよ。だけれども、こんなことは絶対起きていますから。
これは本当に、ストーカー規制法並みのことを、いや、それ以上ですよ、恐らくそれ以上に影響が大きい。
本気で、これは私は総務省の最大の課題だと。NTT法の話よりも全然こっちの方が影響は大きいですから、是非本気で考えていただきたいということをお願いして、NTT法の話に移りたいと思います。でも、 引き続きまた取り上げますので、よろしくお願いします。
それで、NTT法なんですが、私はもう一つちょっと苦言を申し上げたいのは、今日は、NTT社長に、来てください、あるいは、社長じゃなくても、忙しければ副社長でも誰でもいいですよ、NTTさんに聞かないと分からない質問をしようと思って五問ぐらい通告しているのに、来れないというんですよ。何か、理事会で合意がないと来れない。
だけれども、政府が株を三分の一持っているんですよ。そして、NTT法という法律があるんですよ。この間、財務金融委員会では政策投資銀行法の改正をやりましたけれども、政策投資銀行の社長が来て、ほとんど全部答弁していましたよ。何でNTTが来れないんですかね。おかしいですよ。こんな、やはり、何か国会がどんどん腑抜けな形になっていっているのは、本当に極めて私は問題だと思います。
これは、NTT社長が来てくれないんだから、申し訳ないけれども、湯本さん、先輩ですけれども、お聞きしますけれども、NTTはNTT法廃止に向けてどんなロビー活動をしているんですか。教えてください。
○湯本政府参考人
お答え申し上げます。
御質問の事項につきましてNTTに確認したところ、NTTとしては、NTT法の廃止ありきということではなくて、市場の変化や技術革新等を踏まえれば、約四十年前に制定されたNTT法の規律について、例えば、固定電話だけを対象としたユニバーサルサービスや研究開発の開示義務等は時代や市場の実態に合わなくなってきていることから、それらについて見直しが必要だという主張をしてきたとのことでございます。
その上で、こうしたNTTの考え方につきましては、総務省の審議会等の場での説明だけではなく、マスコミを通じた情報発信のほか、議員や有識者等に対しても機会を捉えて御説明をしているとのことです。
○高井委員
何で記者会見では言えたり審議会で言えて、国会で言えないんですかね。何で国会に出てきて、NTT法の審議ですよ、しかも附則に、NTT法の存廃、改廃が附則に入っているんですよ、三年後の見直しに。それは、何でNTTが出てきてその主張をしないんですか。全くおかしいですよ。
ロビー活動を湯本局長に聞いてもそれは答えられないでしょう。だから、NTTに来ていただいて、こういうちゃんと議事録も残る公式の場で答えてほしいんですよ。
幾ら政治献金、自民党にしているんですかと質問しようと思ったんですよ。
選挙部長にも来てもらって、一・五億円、NTTグループでね。だけれども、これもNTTと書いている会社しか調べられないというんですよ。
そうじゃない関連会社はいっぱいありますから、NTT自体は献金できないけれども、そうやって子会社を通じて既に一・五億円は自民党さんの団体に献金しているし、こういうことがあるわけです。
それから、二〇二一年に接待事件というのがあったんですよ、NTTが。これもなぜか、総務省の幹部の方は、何か、五年間で二十九件接待があったというのをNTT自らが特別調査委員会というのを開いて公表しているんですけれども、こんなの、何で総務省だけやるんですか。自民党の皆さんだって、必ず、何人かは既に報道で、接待されているんですよ。こういったことも、何であのとき併せてやらなかったのかということを、本当に私は憤りを感じます。
是非、このNTT法改正は、NTT法廃止なんかしちゃ駄目ですよ。NTTは、電信電話、電電公社のときから資産を引き継いでいるんですよ。電柱、管路、それから洞道、それから立派な局舎、そして光ファイバー、メタル回線、こういったものを全部引き継いで、そしてユニバーサルサービスの義務を負って今やっているんですよ。そんなGAFAMが出てきたからとかいってそれに対抗するためだとか、もう落選しちゃったけれども、自民党の甘利さんあたりを中心に、そういった人たちがそれを主張してやろうとしているんですよ。そこにNTTが間違いなくロビー活動をやっているわけですよ。こういったことをやはり見過ごしちゃいけない。
大臣も、何で今回の法律に、附則にこんなことを入れたんですか。大臣がいるうちはいいけれども、大臣が替わって、もし、このNTT民営化派の人たち、萩生田さんとか、甘利さんの息のかかった小林鷹之さんとか、そういう人が総務大臣になったら大変ですよ。すぐ民営化されちゃいますよ。何で、大臣、これを入れちゃったんですか。この附則に。是非大臣の考えを聞かせてください。
○湯本政府参考人
まずは事務方の方でお答えを申し上げます。
附則の検討の規定につきましては、昨年はNTT法の廃止を含めたりございましたが、今回、NTT法の改廃も含めという規定がございますが、これはいずれもNTT法の改正や廃止も含めて幅広く検討するということでございます。
特に、施行後三年を目途として今回は附則の規定はございますが、いずれにしましても、そういった法の改正や廃止も含めて、予断なく、様々な幅広い観点からあくまでも検討する趣旨で規定が入っているというところでございます。
○高井委員
もう時間がなくなりそうなので大臣に聞きますけれども、私は、やはり大臣は、廃止しちゃいけない、NTT法は、そういう立場だと信じています。今回も総務省もそういう立場で私はあれを守ってくれたと思いますが、これはやはり、絶対見直し、廃止はいかぬと、大臣、ここで言っていただけませんか。
○村上国務大臣
それぞれ考え方があると思いますが、NTTの在り方を含む通信政策の在り方につきましては、情報通信審議会において議論されているところであります。
NTT通信インフラは、近年、社会全体のデジタル化が進展する中で重要性が更に高まっており、今後もNTTの公共的な役割を安定的に確保する必要があります。
このため、本年二月に取りまとめられました情報通信審議会の最終答申においては、NTTの業務に関する規律や外資規制など、現在NTT法が規定されている主な規律は、NTTが担う公共的な役割に鑑み、引き続き必要とされているところであります。
NTTが公共的な役割を果たす上で今後も必要となるこれらの規律は、これまでどおりNTT法で規定することが自然であると考えております。
このために、本法案においてNTT法を維持することとしたものであります。
○高井委員
言葉に語気があってうれしいんですけれども、是非、これは本当にNTTのロビーの力というのを私はずっと総務省にいて目の当たりにしてきましたから、自民党の議員を巻き込んで、物すごい政治力なんですよ。絶対に負けないでいただきたい。総務省にもエールを送って、質問を終わります。
なお、この法案は、我々は反対します。ここに附則があるから反対します。
ありがとうございます。