MMT・反緊縮政策を財務官僚に問う(その3)

4月21日の厚生労働委員会で、9日、14日、16日に続いて、将来の事務次官と呼び声の高い財務省の宇波(うなみ)主計局次長と「MMT・反緊縮政策」について4度目の議論を交わしました。

相変わらず「すれ違い(かみ合わない)答弁」が続きます。

あらかじめ質問通告をすると優秀な財務官僚たちが巧妙な「すれ違い答弁(ご飯論法)」を用意するので、次回は質問通告なしで、本気の議論を宇波次長と行いたいと思います。

 

「財政に対する信認」とは?

(高井)前回私からの「どのくらい国債を発行できるかの基準は何か?」との問いに財務省は「財政に対する信認」「債務の持続可能性」と答えている。私は「財政に対する信認」が損なわれる状況とはインフレが進行する状況だと考える。20年以上デフレが続き、通貨発行権があり、自国通貨建てで国債を発行する日本で「財政の信認」が損なわれることがあるのか?

(宇波)3点申し上げたい。1点目は自国通貨建て国債であっても市場の信認を失えば金利が上昇して資金調達が困難になる。2点目は通貨発行権がある中央銀行が紙幣を刷って国債を無限定に引き受けて財源調達を行えば、急激なインフレによって深刻な影響が生じる。3点目は社会保障の受益と負担がアンバランスな状態にあることが財政赤字の主たる要因で、これを放置し続けると社会保障制度や財政の持続可能性に対する信認が損なわれる。したがって財務省は経済の再生と財政健全化の両立を進めてまいりたい。

 

インフレ率以外に基準はあるのか?

(高井)財務省が心配するような事態になればインフレになるはずだ。しかし日本はデフレだ。政府はインフレ率2%を目標に必死にやってもデフレだ。誰も積み木がいつ倒れるか(財政がいつ破綻するか)わからないけれども、その判断基準はインフレ率しかない。他に基準はあるのか?

(宇波)一つの特定の指標ではない。例えばわが国の財務残高対GDP比は先進国の中でも際立って高い水準にある。特定の水準について政府として何か申し上げたことはない。

 

 

MMTに対する財務省の見解は?

(高井)MMTだけでなく主流派経済学者だってインフレ率が客観的基準だと認めている。ところが財務省は2年前の財政審にMMTに対する批判的コメントばかりを載せた資料を配布しており意図的だ。財務省のMMTに対する見解は?

(宇波)MMTの理論はインフレにならない限り財政赤字を拡大しても問題ないという考え方と承知している。こうした考えに基づき政策を行った場合、過度なインフレあるいは悪い金利上昇が起こり、予測困難で、一旦起きれば制御不可能になる。物価上昇局面において、急に社会保障の減額や増税を行うと国民生活に悪影響を与えかねない。

 

IMFラカルド専務理事の発言

(高井)財政審に配布した資料の中にIMFラカルド専務理事のMMTに批判的なコメントがあるが、そのコメントの直後の「デフレに見舞われた状況下では、短期的には効果的かもしれない」との発言はカットしているが、意図的にカットしたのか。またこの発言に対する財務省の見解は?

(宇波)ラガルド氏は記者会見で質疑の冒頭「MMTが持続可能な方法で実際によい価値を提供できる状況にある国が現在あるとは考えていない」と述べており全体的にMMTに批判的なコメントを述べている。ご指摘の発言の後にも「短期的にそれをやったとしてもその後金利が上昇すれば財政運営が罠に陥る」との発言もあった。

 

債務残高を減らすよりGDPを増やすべき

(高井)MMTに批判的な経済学者の多くは「MMTの理論は理解するがインフレをコントロールできるのか?政治家に任せられるのか?」という点を問題視している。だから「インフレ率2%になれば国債発行は増額しない、抑制する」という法律を作ればいいと提案している。債務残高対GDP比が世界一高くなってもデフレが続くということはそれだけ日本に潜在力がある証拠だ。債務残高対GDP比が問題だというならGDPを増やすことを一生懸命やるべき。

(宇波)分母であるGDPを増やすことは重要。他方、成長への取組みを行っても社会保障の給付と負担のアンバランスは増大していくため、成長だけでなく社会保障給付の伸びの抑制などの歳出改革、国民負担の見直しなどの歳入改革をしっかり行うことが重要であり、経済再生と財政健全化の両立を図っていくのが政府の方針。

(高井)そういう答弁だとやはり財務省設置法を変えるべきという気持ちになる。引き続き議論したい。