MMT・反緊縮政策を財務官僚に問う(その2)

4月9日、14日の厚生労働委員会に続いて16日の同委員会でも、財務省の宇波主計局次長と「MMT・反緊縮政策」について議論を交わしました。認識の違いが大きすぎますが、粘り強く議論を積み重ねることで財務省を説得し「MMT・反緊縮政策」が実現するまであきらめず闘い続けます。

 

財政に対する信認の基準は?

高井「宇波次長は令和元年10月23日の内閣委員会で『現在の日本でハイパーインフレが直ちに発生するとは考えにくいが、少子高齢化など経済社会構造の変化の中でこうした状況がずっと続くとは限らないので、財政に対する信認が損なわれないよう、債務残高対GDP比の安定的引き下げをめざし財政健全化を図っていくことが重要』と答弁しているが、『財政に対する信認』を判断する客観的基準は何か?」

宇波「一概に評価するのは難しいが、国債の償還可能性や債務の持続可能性などの点で財政の信認が確保されることが重要。例えば、IMFワーキングペーパーでは市場の信認の喪失の具体的状況として、市場から持続的に資金調達ができなくなった場合、ソブリンスプレッドの大幅な上昇など、市場へのアクセス費用が増加した場合などを例示している」

高井「通貨発行権もある日本が、デフレ下で自国通貨建て国債を発行して、財政に対する信認が損なわれることがあるのか?」

宇波「財政運営に対する信認が確保されているかということを背景に現在の国債が安定的に消化されていると考えている」

 

積み木はどこまで積めるのか?

高井「主計局長が『積み木を積み上げて今が大丈夫であっても更に積み上げても大丈夫とは誰も言えない』と発言されたと聞くが、どういう意味か?」

宇波「公式な場の発言ではなく詳細は承知していないが、察するに累増する債務残高を積み木に例えたと思う。財政の健全性を評価するにあたって、債務残高対GDP比が重要な指標であることはIMFやOECDも言及しており、同比の安定的な引き下げを目指すことが重要」

高井「財務省は積み木が2個3個積み上げて全く倒れそうにない状況なのに倒れそうと言っているようなもの。倒れるかどうかの判断基準はインフレ率だ。今の日本はデフレに20年以上苦しんでいて、インフレ率2%の目標も達成されていない状況でまだ積み木は積める(国債は発行できる)のではないか?」

宇波「我が国の債務残高対GDP比は先進諸国の中で群を抜いて高い水準だ。インフレ率が高くなったときに国債の発行を停止すればいいという指摘はインフレ局面で社会保障の大幅な削減か増税を行わざるを得なくなり国民生活に悪影響を与えかねない」

 

財務省設置法に問題あり

高井「債務残高対GOP比率が世界一高いのに全くインフレにならないのは日本に余力があるからだ。財務省設置法の任務の最初に『健全な財政の確保』とあるが、財務省の最大の任務は『予算編成』だ。この20年間でIT企業は世界トップ10の全てを占めるに至り、米英はIT予算を2倍も3倍も増やしているのに日本は20年間全く増やしていない。インフレ率は高くない(積み木は倒れない)のに財政再建ばかり叫んでいる財務省が問題だ。設置法の任務を変えるべきではないか?」

宇波「予算編成は主計局の所掌事務の中で記載されている。また別の法律で財務省の使命として『広く国の信用を守り、健全で活力のある経済及び安心で豊かな社会を実現すること』と記載している。IT予算の件も、財政赤字による財政硬直化の弊害で、限られた予算の中で他事業への適切な配分が難しくなる」

高井「発想が違う。財政再建を目的とするから緊縮財政となり、重要な分野に予算が回らない。IT分野などにどんどん予算をつけて経済成長させれば税収で返ってくる。日本はまだ財政再建しなくても大丈夫だ。設置法の任務にきちんと明記すべきだ。」