MMT・反緊縮政策を財務官僚に問う

4月9日、14日の厚生労働委員会において、財務省の宇波主計局次長と「MMT・反緊縮政策」について以下の通り議論しました。

 

自国通貨建て国債はデフォルトしない

高井「『変動為替相場制を取る国における自国通貨建て国債は債務不履行(デフォルト)しない』というのはMMT・主流派経済学者も一致した見解だと思うが、財務省も同じ考えでよいか」

宇波「財政状況が厳しい中で日本国債が円滑に市場で購入されるのは、日本の財政運営に対する信認が前提となっている。その観点から自国通貨建て国債であっても、その債務の持続可能性に対する市場の信認を失う事態が発生すれば、金利の上昇などを通じて、市場から資金調達が困難になる可能性は否定できない」

 

インフレ率2%まで国債を発行すべき

高井「債務の持続可能性に対する市場の信認があるかどうかのメルクマールがインフレ率だ。インフレ率2%になるまで国債を発行し続けても何も問題がないと考えるがどうか」

宇波「日本の財政赤字の拡大は、少子高齢化を背景に社会保障の受益と負担のアンバランスという構造的要因だ。インフレになるまで財政赤字を容認すれば、インフレ局面において社会保障の減額あるいは増税を行わざるを得なくなり、国民生活に大きな悪影響を与えかねない」

高井「『インフレ率2%になったら国債発行はやめる』というトリガー条項を法律で定めてはどうか」

宇波「この30年間社会保障以外の予算は横ばいだが、社会保障予算は3倍に増えている。財政健全化と持続可能な社会保障制度を構築することは表裏一体だ。インフレ局面で国債発行を停止することは社会保障の急激な削減あるいは増税を行わざるを得なくなり国民生活に悪影響を与えかねない。またそのことを法律上宣言することは社会保障に対する国民の将来不安を助長しかねない」

財務省は「財政健全化」よりも「国民生活向上」をめざすべき

高井「国民はインフレが2%に近づけば増税もあると覚悟するようになるから問題ない。むしろそれまでの間は国債発行による財政出動で経済は上向く。日本は20年以上デフレでありまだ大丈夫。債務がGDPの2倍だから問題だとか世界で最も債務が多いなどは市場の信認とは関係ない。客観的基準はインフレ率だ。財務省設置法には財務省の任務は『健全な財政の確保』と書いてある。財務省が目指しているのは日本経済の発展や国民生活の向上ではなく財政健全化なのか。そもそも国債を国の借金という言い方がおかしい。国債は『政府の債務』であると同時に『国民の資産』だ。個人や民間企業の債務とは根本的に違う。今後は国債残高を『政府の債務(国民の資産)』と表記すべきではないか」

宇波「国債は保有する国民にとってその限りでは確かに資産だ。しかし国債の返済や利払いにおいては、追加的に税金等の負担あるいは歳出改革の協力をお願いしなければならず『国の借金』と表記している。」

 

時間の制約もありなかなか議論がかみ合いませんが、引き続きこのテーマを取り上げ、財務省が「反緊縮政策」に方針転換するように粘り強く説得したいと思います。