午前1時30分、ようやく衆議院本会議が終わりました

午前1時30分、ようやく衆議院本会議が終わりました。

IR(カジノ)法案が再び衆議院に戻ってきたので、「ギャンブル依存症対策の確約を取る」ラストチャンスと思い、志願して質問に立つ予定でした。

ところが、深夜だから…なのかわかりませんが、質疑は行われず、討論のみ(しかも反対討論のみ)が行われ、採決となってしまいました。

参議院は「もう一度衆議院でしっかり審議して欲しい」ということで、回付されたはずなのですが、これでは何のために衆議院に戻ってきたのかわかりません。

「パチンコも含めたギャンブル依存症対策の具体策」や「ギャンブル依存症対策基本法の制定」、「依存症対策予算の増額」等の言質を取りたかったのですが、残念でなりません。

悔しいので、幻の質問原稿を残しておきます。(長文ですが、よかったら読んでみてください。)

(以下、幻の質問原稿)

私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま提案の在りました「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案に対する修正案」について質問いたします。

まず、冒頭申し上げたいことは、本法案及び修正案があまりにも拙速な議論しか行われていないということです。
この「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」いわゆる「IR法案」「カジノ法案」については、多くの国民が注目している重要な法案でありながら、衆議院では、参考人質疑の機会もなく、わずか5時間33分の議論で採決が行われました。
国民からの厳しい批判を受け、ようやく参議院では、参考人質疑を含めた16時間程度の審議を行い、法案の中に「ギャンブル依存症対策等の」文言を加えるなどの修正案が出され可決されました。
しかし、本法案等については、明確にすべき内容が多数残されています。
以下、順次質問いたします。

まず「賭博性の違法性が阻却されるのか」という問題です。
この問題が明確にならない限り、本法案等はそもそも違法な法案となってしまいます。
賭博罪の違法性阻却の着目点として、平成25年11月20日、衆議院内閣委員会における当時の平口法務大臣政務官発言などを踏まえると、八つの点があげられます。
順次、申し上げると、目的に公益性はあるのか、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止
以上が要件となっていますが、これらの点について、本法案等では明確になっていません。
衆議院の内閣委員会での質疑の中では、本法案の提案者からは「これらの点については実施法の中で適切に規定をしてもらうことを考えている」との答弁がありました。
確かに、本法案等はいわゆるプログラム法案ですが、少なくとも、これら八つの要件について「違法性阻却のために十分に対応するべき」との旨を明確に法案に書き込むべきです。
違法性阻却のための8要件が、本法案等のどこに記されているのか、明確にお答えください。

次に、ギャンブル依存症の問題について伺います。
わが国は既に「ギャンブル大国」です。公営賭博だけでも、競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、サッカーくじ等があり、さらには、日本の法令上は「遊技」とされているパチンコ・パチスロもあります。
世界中のカジノを全て合わせてもその売上高は18兆円。日本はパチンコだけで23兆円です。
厚生労働省による病的賭博(ギャンブル依存症)の調査によれば、ギャンブル依存症のおそれのある患者は、成人の4.8%、536万人と推計されています。これは、世界各国と比較しても非常に高い数値になっており、早急に解決すべき課題であると考えますが、政府としての見解を伺います。

特に、ギャンブル依存症対策にはパチンコ・パチスロを抜きには語れません。ギャンブル依存症の8割がパチンコ・パチスロによるものと言われており、パチンコ・パチスロを含めたギャンブル依存症対策を具体的にどのように進めていくのかが重要です。
厚生労働省のホームページには、「依存症は適切な治療と支援により回復が十分に可能な疾患である一方、治療を行う医療機関が少ないことや効果的な治療方法が見つかっていないことなどの理由により、依存症者が必要な治療を受けられないという現状があるため、具体的な対応策の検討が喫緊の課題となっている。」と記されています。
パチンコ等を含めたギャンブル依存症対策を具体的にどのように進めていく考えか、伺います。

わが党は既に議員有志により、パチンコ等を含めた「ギャンブル依存症対策基本法」の素案を策定し、議論を始めています。「ギャンブル依存症対策基本法」を制定する考えがあるか、伺います。

また、そもそも依存症対策の予算が年間5億円程度と、あまりにも少なすぎることが問題です。
アルコール依存症や薬物依存症に携わる方々から、「IR法案が成立すると、この限られた依存症対策の予算を取り合うことになるのではないか」と心配の声が聞かれます。
ギャンブル依存症対策の予算は、当然、既存の依存症対策予算とは別に予算措置を行うべきと考えますが、見解を伺います。

あわせて、本法案等が成立すると、「カジノの収益によってギャンブル依存症対策を推進することができる」と言われますが、カジノが収益を上げてから対策を行うのでは遅すぎます。
ギャンブル依存症対策は、事前の普及啓発が大切であり、今後、ギャンブル依存症対策に関わる予算は、カジノのみならず、パチンコ等や公営ギャンブルの収益からも支出すべきと考えますが、見解を伺います。

次に、経済効果について伺います。
本法律案等の立法目的に「経済の活性化」が掲げられています。その経済効果は十分な検証の上に評価されるべきです。しかし、経済効果についてはプラス面のみが試算され、経済的なマイナス要因の可能性について、客観的な検証はなされていません。
政府として、客観的な経済効果を明示すべきと考えますが、見解を伺います。

本法案等が成立したと仮定して、実際に建設が着工されるとした場合、建設業界は、すでに、東日本大震災からの復興、2020 年東京オリンピック・パラリンピックによる建設需要で、人手不足や資材高騰の課題に直面しています。そこに大規模なIR建設が加われば、建設コストの上昇、工期の遅れ等が危惧されますが、見解を伺います。

最後に、一言申し上げます。
冒頭述べたように、本法案等は、国民的な注目が非常に高い法案です。本来であれば、徹底的に議論を行ない、様々な問題点について結論を得る、道筋をつける、ことを行うべきでありました。
それを、与党内でも調整のつかないままの突然の審議入り、極めて短時間の審議しか行わなかったことは極めて遺憾であることを申し上げて、私の質問を終わります。