【ヨーロッパ視察(その10)】 国家選挙事務所(日本の中央選挙管理委員会に相当)を訪問し、電子投票についての話を伺いました。

【ヨーロッパ視察(その10)】

国家選挙事務所(日本の中央選挙管理委員会に相当)を訪問し、電子投票についての話を伺いました。

エストニアでは、2005年の地方議会選挙から電子投票を始めており、2009年からは国政選挙でも導入しており、欧州議会議員選挙も含めて、9回の選挙で実施しています。

電子投票の投票率は、開始当初(2005年)はわずか2%であったのが、現在では32%に増えています。

選挙の2週間前になると有権者にメールで通知が届きます。メールのリンクをクリックすると選挙用ウェブサイトに移動します。ここから投票用ソフトウェアをダウンロードするとログイン画面に移ります。ログインに必要なのは、IDカードとカードリーダー。暗証番号を入力してログインすると、投票画面になり、候補者名の中から候補者をクリックすれば投票は終了。所要1~2分の極めて簡単な操作で投票は完了します。

勘違いされることが多いそうですが、電子投票で投票率(60%前後)はほとんど増えておらず、投票する世代構成を比べても、電子投票と投票所での投票はほとんど変わらないそうです。

アンケートでは14%の人が「電子投票だから投票した」と答えているそうですが、真偽のほどはわからないとのこと。「20~40歳の世代は電子投票の率が高い」というデータや、「一度電子投票を行った人は継続する」というデータもあるそうですが、それほど有為な差があるわけではないとのこと。電子投票を導入した理由は、国民(有権者)の利便性を高めることに尽きるとのことでした。

大学の研究機関の調査でも、「電子投票によって選挙結果は変わらない」という分析が出ているそうです。

投票の秘密は守られる(誰に投票したかはわからない)仕組みとなっており、選挙期間中に何度も投票しなおすことができ、最後に行った投票が有効になる(投票日に投票所で行った投票が最優先される)仕組みになっています。

ただし、実際に複数回投票する人は少なく、電子投票176,000票のうち、複数回投票したのは4600票、投票所へ行って投票し直したのはわずか163票に過ぎないそうです。

「サイバー攻撃による不正選挙(改ざんなど)の恐れはないのか?」と質問したところ、

「もし選挙期間中にサイバー攻撃があれば必ずわかるし、電子投票であっても投票日に全て確認する仕組みになっている。電子投票専用のアプリケーションを用意しており、電子申請やオンラインバンキングなどよりも厳重なセキュリティを確保している。」

との答えでした。

日本ではマイナンバーカードの普及が前提になりますが、十分我が国にも導入できると確信しました。

帰国後、総務委員会の質問でさっそく取り上げ、野田聖子総務大臣をはじめ総務省幹部や国会議員(総務委員)にこの状況を伝えると、皆さん興味深く聞いていただき、総務大臣からも前向きな答弁を引き出すことができました。