獣医学部新設について
菅官房長官から記者会見で、「(加計学園の獣医学部新設については)民進党の高井議員も国会で質問している」と名指しで指摘されました。
本件については、先日、 FBに私の真意を書きましたが、多くの方から賛否両論ご意見を頂戴しましたので、それらを踏まえて、改めて私の見解を申し上げます。
私が「獣医師が足りない」と思うに至った理由はFBに書きましたが、これに対して農林水産省は一貫して「獣医師は足りている」との見解を表明しています。では、どちらが正しいのでしょうか?
本件の問題は、長年特区を認めてこなかった政府が、いかなる理由で特区を認めるに至ったのか、その説明が全くなされていないことです。農林水産省の「獣医師は足りている」との見解に対して、特区を推進する立場の内閣府は、農林水産省や文部科学省と何ら協議のないままに、特区が決定されています。前任の石破特区担当大臣が示した(昨年4月の私の質問に対する答弁でも強調されていた)「獣医学部新設にあたっての4条件」(閣議決定)に合致するか否かの説明もなされていません。
省庁間で意見が対立することはよくあることですが、その際はまずは徹底的に議論を重ね、それでも結論が出なければ、最後は総理なり大臣なりが判断するのが通常の政策決定プロセスです。もし今回こうしたプロセスを経ずに、「総理の意向」のみで決まったとすれば、結果の良し悪しに関わらず、おかしいと言わざるを得ません。
ただ、この問題の本質は、より根深いところにあると考えています。それは森友問題と共通しますが、官僚による「忖度」の問題です。そして「忖度」が起こるのは、安倍政権による「強権的・恣意的人事」に原因があります。
私は「強権的・恣意的人事」の弊害について、何度か国会で菅官房長官を問い質しており、昨年10月21日の内閣委員会では、内閣法制局長官と宮内庁長官の人事について質問しました。(https://youtu.be/B-ZhhQLpqQI)私の質問に菅官房長官は「適材適所の人事」と答えていますが、とてもそうは思えません。私からは「人事権は強大な権限であり、だからこそ抑制的であるべきで、厳に濫用は慎むべき」と申し上げました。この両名の人事に限らず、表にはなかなか出ないところで、菅官房長官の意に沿わない官僚が更迭される人事がありました。こうした「強権的・恣意的人事」が官僚の「忖度」を生み、森友問題や加計学園問題を引き起こしていると考えます。
いずれにしても、獣医師の偏在をなくすために加計学園の獣医学部新設を応援してきたのは事実ですが、そのことと、安倍政権に潜む問題点の追及は全く別物であり、これからも混同することなく対処してまいります。