高梁川上流の河本ダム(管理者:岡山県)と新成羽川ダム(管理者:中国電力)を見てきました。

小田川決壊の原因を究明するため、高梁川上流の河本ダム(管理者:岡山県)と新成羽川ダム(管理者:中国電力)を見てきました。

河本ダムは洪水調節機能を有する治水ダムですが、新成羽川ダムは発電用の利水ダムで、洪水調整機能はありません。

今回の豪雨により、7月5日・6日の2日間で河本ダムには計画水量の1.8倍の雨が流入し、7月6日16時30分から毎秒250㎥以上の放流を開始。23時には異常洪水時防災操作(流入量をそのまま放流)に切り替えます。ダム管理者は「いずれも操作規則に則った操作であり、適切な洪水調節だった」と主張しています。

一方、新成羽川ダムは、利水ダムであることから、放流に関する情報は公開されていません。ダム管理事務所に伺いましたが教えてくれませんでした。高梁市副市長も「中国電力に問い合わせても教えてくれない」とのことでした。

岡山県の資料によると、新成羽川ダムは河本ダムの数倍の放流を行っています。成羽川では橋が数十メートル流されていたり、堤防が決壊寸前になるなど、かなりの流量があったことがわかり、成羽川と高梁川の合流地点(高梁市広瀬地区)では、タンクローリーが線路に転がるほどの激流となっています。

利水ダムは洪水調整を行わないとされていますが、河川法44条では利水ダムであっても「洪水時には、河川管理者の指示に従い、従前の機能を維持するための措置をとらなければならない」とされており、52条では「河川管理者は、災害の発生を防止又は軽減するために必要な措置を指示できる」とあります。

この規定に基づく建設省河川局長通達(昭和40年8月)では、

「相当の洪水調節効果を期待できる利水ダムについては、河川法第52条の指示が有効かつ適切に行われるよう、利水ダムの設置者と協議してあらかじめ緊急時を予想した具体的な洪水調節の方法等を予定しておくこと」

とされています。

しかし、これまで一度も河川法52条に基づく「河川管理者の指示」は行われたことがありません。

改めて、民間企業(電力会社)が管理する新成羽川ダムのような利水ダム(発電用ダム)に対しても、河川法に基づいて日ごろから治水対策への協力要請を行い、非常時には指示を発動できる体制づくりが必要であると痛感しました。