「憲法勉強会」を開催しています
毎週火曜日の昼休みに、有志の国会議員や弁護士さん達が集まって、「憲法勉強会」を開催しています。
今回は、九州大学の井上武史准教授から「フランスの憲法改正」についてお話を伺いました。
意外なことに、フランスの憲法改正は24回の改正全てを大統領が発議しています(制度上は国会議員1名でも発議できますが、1回もないそうです)。
ただいずれの改正も、憲法改正そのものが目的ではなく、多くの場合は統治機構改革が目的で、憲法・法律・政省令の必要な部分を改正するという手続きになっています。
直近の改正は2008年ですが、その際はパラデュール元首相を委員長とする諮問委員会が結成され、13名の委員は元政治家4名、法実務家2名、法学者6名、有識者1名で構成され、計34回のヒアリングを実施し、3ヶ月間で報告書をまとめています。
その報告書をベースに、法務省が憲法改正原案を策定し、各省協議を経て、日本の内閣法制局に相当する「コンセイユ・デタ」が審査し、国会に提出されます。
フランスの憲法改正は、国会議員による両院合同会議の5分の3以上の賛成でよく、国民投票にかけられたのは2000年改正の1回のみで、しかも投票率は30%しかなかったそうです。
我が国の憲法改正論議と比べると、現在の自民党案は、憲法改正そのものが目的となっている感が否めず(自民党の改憲4項目「自衛隊」「緊急事態」「合区解消」「教育充実」は全く脈略がない)、その点が大きく異なります。
一方で、フランスの憲法改正は、内閣法制局や官僚に一定の役割を与えています。これは改憲後の実施に責任を持たせる意味合いがあるそうで、国会議員だけで議論を進めている我が国でも参考にすべきかもしれません。
井上准教授も、憲法改正には「民主的正統性(国会議員)」と「技術的合理性(専門家・実務家)」の両輪が必要との考えです。
我が国においても、様々な分野の専門家に加わっていただき、今後数年間かけてじっくり検討を重ねた上で、日本の統治機構の抜本的改革が必要なのではないでしょうか?その際に、憲法改正が必要であれば、改正すればいいと思います。
憲法改正そのものが目的となった改正では意味がありません。