政府ヒアリング その17「ダムの治水対策」(国土交通省)

政府ヒアリング その17「ダムの治水対策」(国土交通省)

今回の豪雨災害において、国土交通省が所管する558ダムのうち、213ダムにおいて洪水調節を実施しています。

しかし8つのダム(岡山県・河本ダム、広島県・野呂川ダム、愛媛県・野村ダム/鹿野川ダム等)においては、雨量がダムの貯水量を超えたため、異常洪水時防災操作(流入量をそのまま放流する)を行っています。

愛媛県の2つのダムの緊急放流が問題視され、国土交通大臣は操作が適切であったかの検証を指示していますが、岡山県のダムについては指示されていません。

しかし、高梁川の急激な水位の上昇は、河本ダム(岡山県が管理)や新成羽川ダム(中国電力が管理)からの緊急放流が原因ではないか、との声が地元住民や自治体トップからも上がっています。

民間企業(中国電力)が管理する新成羽川ダムについては、治水ダム(洪水調節が目的)ではなく、利水ダム(上水道、工業用水、かんがい、発電等が目的)であり、洪水調節機能はありません。

しかし、河川法52条では、「河川管理者は、洪水による災害が発生し、又は発生するおそれが大きいと認められる場合においては、ダムを設置する者に対し、災害の発生を防止するために必要な措置をとるべきことを指示することができる」とあります。

国土交通省 水管理・国土保全局 治水課及び河川環境課に対して、

「河川法52条に基づき『必要な措置』をとるよう指示を出すのは誰なのか?今回なぜ出さなかったのか?」

を問いましたが、国土交通省の答えは、

「指示を出すのは中国地方整備局長ですが、私の知る限り、これまで一度も河川法52条に基づく指示が出されたことはありません。」

とのことでした。

「民間企業に対して不利益となる措置を命ずることは難しい」との理由だそうですが、では何のために河川法52条があるのか不明であり、抜けない「伝家の宝刀」では意味がありません。

今回の洪水とダムの放流との因果関係については、岡山県のダムも含めて、しっかりと検証し、必要であれば河川法改正を行うなどして、今後繰り返さないことが重要です