ワシントン出張報告(その2)

ワシントン出張報告(その2)

今回の訪米で、米国の連邦議会と日本の国会との大きな違いを痛感しました。

米国上院議員は100名(日本の参議院議員は242名)で、人口に関わらず各州2名と決まっており、任期は6年。2年ごとに3分の1が改選されます。

下院議員は465名(日本の衆議院議員も465名)で厳密に人口に比例して選出され、1名の州から、53名のカリフォルニア州まであります。任期は2年で、全員が改選されます。

米国は日本の人口の約2倍ですから、人口一人当たりの国会議員は日本が相当多いことになります。

選挙区の公認候補は予備選挙で決めるため、党本部には公認権がありません。そのため党議拘束はなく、党の方針と違う投票行動をとる議員も多いそうです。

驚いたのはスタッフの数です。特に上院議員は1議員に20~30名のスタッフがいます。各議員の部屋は2階建てで、スタッフ一人一人に仕切りのある立派な机があり、会議室もあります。スタッフの中でも序列があり、フェローやアドバイザーと呼ばれるスタッフがそれぞれ専門分野を担当し、上院議員に対して政策提言を行っています。更に委員会毎にもスタッフが存在し、米議会全体のスタッフは2万人を超え、全員が国家公務員だそうです。

法律は全て議員立法のみで政府提出法案はありません。法案は議員一人でも出せるため、毎年1万本を超える法案が提出されるそうです。

予算も政府案は「予算教書」という形で示されますが、ほとんどが国会議員によって修正されます。日本のように政府予算案が何ひとつ修正されず2ヵ月足らずで成立なんてことはありません。議員同士が半年近く実務的な協議を行うため、日本のようにスキャンダルを追及したり、ヤジを飛ばす余裕もありません。逆に日本の場合、いくら予算委員会で質疑をしても政府予算案が修正されることはまずないため、政権を追及する場となってしまい、どうしてもスキャンダル追及やヤジが多くなります。(米国では政権のスキャンダル追及は特別委員会を開いて行うそうです。)

国会(委員会)審議も、日本では議員の質問に政府(大臣や官僚)が答弁する形ですが、米国は議員同士の議論の場であり、政府に質問するのは公聴会で参考人として呼んだ時だけです。本会議も、全議員が出席するのは採決の時だけで、ほとんどの議員は自分の出番がなければ席を外すそうです。

いろいろな違いに驚きましたが、いずれも米国議会の方が優れているように思います。もちろん欠点もあるのでしょうが、いいところだけ取り入れればよく、上記のような点は日本の国会に取り入れるべきと感じました。我々もそろそろ本気の国会改革が必要です。